昼過ぎ、愚弟からTEL。
『オフクロ、おかしくなっちゃってさ』
ホームに入っている愚母と面会したそうです。
ガラス越しで。
『飯はうまいって言っていたけれど、量が少ないって』
なるへそ。
食欲はあるんだ。
でも月8000円の食費だから文句を言ってほしくない。
1日280円くらいだから、給食並みです。
小食の蟷螂なら十分生活できそうです。
なにせこっちは1日2食なので。
ただ、あっちが食欲旺盛ということは、やっぱりこっちはあっちより早く渡たりそうです。
三途を・・・
『談話室に茶菓子を差し入れしろって、文句ばかりだよ。家で死にたいとか』
『職員に聞こえるだろう』
『耳が遠いから声がデカくてさ』
補聴器はまだ手配していないようです。
蟷螂の耳が悪いのは、愚母の遺伝か呪いか。
半年に1回うつ骨粗鬆症の薬の注射はまだみたいなので、問題かもしれません。
もう一度圧迫骨折を起こしたら、寝たきりだよ。
なにせ中に入れないから、どういう状態だか全くわかりません。
『煎餅はもういらない』そうです。
東あられは不人気だった。
なにせ言っていることがチンプンカンプンなので、会話の成立が困難なのだそうです。
それもインターホン越しなので、意思の疎通ができない。
アフターコロナだから仕方ない。
ヘルパーはガイジンが多いという。
『差し入れのオフクロの名前、カタカナで書いた?』
『漢字』
『あ~ダメだな。ガイジンだから読めないよ』
『でも、部屋番号は大きく書いたぜ』
『あ、そうか。数字は読めるな』
愚弟も呆けてきたようです。
親子で入所もありだけど、ヤローは酒が切れると暴れるから即退所になる。
『5月には会いに行ってやってくれる?』
蟷螂が会うとなると4か月ぶり。
去年の12月には判別できていたけれど、もう忘れているかもしれません。
蟷螂だって今、アンポンタン大バカ間抜け倅に会ってもわからないかもしれない。
いや、アンポンタン大バカ間抜け倅の顔を忘れ去りたい。
ということは・・・
愚母も蟷螂の顔を忘れ去りたいと考えているかもしれない。
実際に忘れていたらラッキーだ!