遥かな轍(日々雑感)

大根サラダを食いまくってカリカリな体になってみよう(笑。

音轍~その3

2007年02月12日 21時12分00秒 | 音鉄Tips
何故か無人で走るキハ58に縁のある僕(笑 キハ58593 芸備線(高~備後庄原)1821D 2005.08.25


前回の続きです。

前回のエントリでは道具に付いては基本的に何でも構わないと書きましたが、今回は少し逆説的な内容になるかもです(笑。何にせよ、音鉄の世界に踏み入れたならまず気になるのがどのようなマイクを使えばよいかと言う事だと思いますが、今回のエントリでは僕が今まで使ってきたマイクが比較的メジャーな個体(と言いつつ僕はSony信者・・・と言うかカブレなのでSonyの個体ばかりですがw)なので割合参考になるのではないかと思って、僕が現場で使ってみた際に感じた使用感からそれぞれの長所、短所みたいなのを独断と偏見で書いてみたいと思います。そして、それぞれのマイクで拾った音のサンプルを添付しておきましたので、その音の特徴なんかも知ってもらえたらと思います。結構こう言った比較というか、インプレッションって少ないでしょう?これは僕にしては稀代?稀に見る豪華な企画です(笑。
では、まず初めは手軽な所でピンタイプのミニコンデンサーマイクから紹介していきましょう。

※各マイクの音源はより一層の音質特性を知ってもらう為にヘッドフォンを使って聞いて頂ければと思います。それぞれのマイクの特性の違いがはっきり判って興味深いです。


Sony ECM-719ミニコンデンサーマイク


Sonyのミニコンデンサーマイク、ECM-719です。定価は9240円です。これは一応タイピンタイプのミニマイクと言う触れ込みですが、ご覧の通り採寸の為に一緒に写してみたジッポライターと比較してもらえれば判ると思いますが結構大きいです(笑。タイピンってネクタイを留めるピンの事ですよね?・・・こんなに大きいタイピンって普通無いよねぇ。邪魔やろうに・・・。いやいや話が脱線s(バキッ。
えーっと、で、このECM-719ですが、コンデンサーマイクと言う事もあって電池が内臓されています。ボタン電池なんですけどね。勿論ステレオタイプで小さい割に非常に収音力に優れていて、ちょっとコンプレッサーを効かせた様な、シャキシャキした高音が特徴です。周波数特性は100Hz~15KHzで、低域の立ち上がりは若干遅いものの高域は流石に広いです。単一指向性の収音カプセルを2基持っています。写真を見てもらえば判ると思いますがLRチャンネルが少し離れている為、小さい割にステレオ感が比較的よく出てくれるマイクです。ただ、正面からの音は捉えきれない欠点があります。それと吸い込み(マイクゲイン)がきつ目な事もあって低音はあまり期待できません。というより全く捉えてくれなくて非常にスカスカした音です(笑。で、ボイスモードとミュージックモードの二つがあってスイッチングによる切り替えで入力特性を若干変える事が可能ですが、ボイスモードは非常に吸い込みがキツく、音鉄にはちょっと向いてないです。通常はミュージックモードで録音するのが良いかと。ちなみに電池内臓ですがプラグインパワー(ピンプラグを介して録音デバイスから電源の供給を受ける機能)対応となっているので、録音デバイスがプラグインパワーに対応している場合はマイクの電源は切っておく必要があります(電源がONになっていると入力レベルが極端に小さくなりますから要注意)。
音鉄をやってみたいけど、あまり堂々とやるのもちょっと恥ずかしいし、でも、ある程度の音質は期待したいという方にお勧めのマイクです。マイクの裏側にはクリップが付いていて360°回転するようになっているので服のポケットとか鞄のポケットなどにくっ付けてコッソリ盗聴するのm(バキボキィーッ


ECM-719サンプル音源

キハ58593 芸備線(井原市~志和口)811D急行みよし mp3/64kbps 2005.08.25録音


サンプル音源はそれぞれのマイク特性を比較し易いように、全く同じ区間での音源(芸備線/吉田口~志和口)をそれぞれトリミングして添付して有ります。ECM-719は811D急行みよし1号キハ58593からの録音。ECM-MS907は811D急行みよし1号キハ58563からの録音。ECM-MS957では815D急行みよし5号キハ58563からの録音です。


Sony ECM-MS907コンデンサーマイク


続いては同じくSonyの本格バックエレクトレットコンデンサーステレオマイクECM-MS907です。定価は10000円です。バックエレクトレットなんて曲々しい名前ですが要はステレオ方式のパノラママイクだって事です(笑。ダイナミックレンジは85dB以上で、周波数特性は100Hz~15KHzで、ECM-719と同じ特性なのが意外です。しかし、ダイナミックレンジの幅が比較的広く、安価なマイクでありながらチープな音では無いのが素晴らしい所で、コイツの音は僕も嫌いではないです。ステレオ感も比較的出ているほうでしょう。単一指向性ですがスイッチングによって90度と120度の2レンジ選択可能です。ただし90度を使った場合は音の広がりの幅が狭いので、タイフォンやエンジンのアイドリング音、ELのブロアー音など録音対象に直接マイクを向ける場合のみ有効でしょう。走行音を録る時は迷わず120度レンジを選択すると広がりのある音が望めます。ただし、若干指向性感度が弱い気もします。マイクのセッティングを問われるやや扱いが難しい面も持ち合わせています。ま、これは経験と工夫で何とかなるとは思いますが。ちなみに付属のウィンドスクリーンはあまり効果を期待できないばかりか音がこもってしまい勝ちなので気になるなら付けない方が結果が良いようです。ただしその場合は風対策を万全(窓を開けている時などはマイクをセットする位置に注意して極力風を拾わないようにする)を期さなければなりませんが。


ECM-MS907サンプル音源

キハ58563 芸備線(井原市~志和口)811D急行みよし mp3/64kbps 2006.09.27録音


こちらのサンプル音源は車端部に近い位置、3A席(ほぼ台車の真上)で録っています。ちなみに上のECM-719の音源は16A席(エンジン直上)での録音です。録音位置に大きな相違があるためジョイント音の切れ味に違いがある事に気付くと思いますが、ECM-MS907も中々に鋭い音がしますよね。MS907で録った音源では一番気に入っている音です。ECM-719と比較すると低音域の厚みが全く違う事に気付きませんか?(笑。


Sony ECM-MS957コンデンサーマイク


最後は満を持して登場、汎用タイプのバックエレクトレットコンデンサーマイクECM-MS957です。コイツはSonyが出しているワンポイントステレオマイクの決定版、ECM-999に次ぐマイクで、上記2種のマイクとは別格の性能と音質特性を持っています。定価は29400円と上記2種とは大きな開きがあるのがちょっと・・・えーっと、テッチャン連中は何かと自分の機材にポリシーを持って使っている人が多いので、あまり諸手を挙げるようなデカイ事を言うと機嫌を損ねてしまうので自粛するつもりでしたが、ま、もう良いです。だって、このECM-MS957って本当に良い音するんだもんねぇ。もう何でもいいや。ECM-719とかECM-MS907使っている人、はやくコイツに乗り換えた方がイイぜぇー(笑。さて、ヨタ話は置いといて、ECM-MS957ですがダイナミックレンジは90dB以上で周波数特性は50Hz~18KHzと、流石に低域の立ち上がりは早いです。実際コイツの音は重厚感に溢れていて、なにかしら高級感を醸している所が憎いです。またコイツもMS907と同じく指向主軸に2レンジの設定があって90度と120度から選ぶ事が出来ます。指向特性はMS907によく似ていますが、より広がりを感じるところは不思議でも有ります。また、ターニングカプセルという構造を持っていて、セッティングに融通が利くマイクです。例えばマイクのセットする位置に拠っては、立てて置かないといけないとか、或いは寝かして置くとか制約を受ける場合が有りますが、それに関係なく、マイクヘッド内部の収音カプセルのみ向きを変える事が出来るので、マイクの向きに係わらず常に音源に指向させることが可能で、より一層の収音力を持っているのが最大の利点です。低音も非常にストレートで逞しく、高音も爽快な伸びを示します。また、屋外での録音、例えば列車の通過音などを捉えるとよく分かりますが、とにかく何でも拾ってくれます。森の中に居て鳥の囀りなんかを捉えるのにも好適なマイクです。とにかくクリアーな音です。


ECM-MS957サンプル音源

キハ58563 芸備線(井原市~志和口)815D急行みよし mp3/64kbps 2007.01.15録音

こちらの音源は16A席(エンジン直上)で録っています。高音域から低音域まで非常によく捕らえているのが判ると思います。低音はメリハリが合ってアタック感が強く、高音も伸びやかでしょう。レールと車輪が発する高周波の走行ノイズも妙に艶かしくてリアルです。また、MS957ではダイナミックレンジが広いせいもあって録音レベルを非常に高くすることが出来て、そこが幅の広い音質特性の要因にもなっていると考えられますね。

と言う事で、今回のエントリでは今まで僕が使ってきた3つのマイクの音質特性をサンプルを聞いて頂く事で知ってもらおうという企画でしたが如何でしたか?。極力わかりやすい文章にしてみたつもりですが、文才に乏しい為上手く伝わったかどうか妖しいものです。これからもココに上げた3つのマイクは状況の変化に応じて使い分けつつ、能力をさらに引き出せるよう慣熟して行きたいと思います。長くなりましたがお付き合いありがとうございました。マイクの選定に悩んでいる方の一助となれば幸いです。
さて次回は、ネット上での音源公開に際して、どのエンコーダーが最適なのか探りつつ、音源の圧縮率の度合いによる音源の変化に付いて書いて行こうと思います。ではでは!。

音轍~その4へ行ってみる。


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
貴重なデータをありがとうございます。 (こうじ)
2007-10-11 19:41:32
正直に申しまして、私は鉄道ファンではありません。
ソニー製のステレオマイク ECM-719の評判が知りたくて検索をしておりました。そうしたら評判どころか実際に録音した音質まで聞かせていただけるなんて…
思わず書き込みをしてしまいました。

確か自宅に旧タイプのECM-717があったはずだなぁ~と思いながらも、もし無かったら朗読の録音ができないし… では最悪を想定して買うかって流れでした。

場違いなコメントをお許し下さい。
また、貴重なデータをありがとうございました。

最後に少しだけ鉄道の話を…

芸備線というのは存じ上げませんが、昔の阪急電車に似ていますよね。僕は進学塾に通うために4年間も利用したので懐かしさを感じました。

多謝

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有難うございます。 (はやぶさ)
2007-11-26 23:37:41
こうじさん、お初です!
僕如きの記事が本当に役立ったかどうか疑わしい限りですが、多少なりとも参考になれば幸いです。
>阪急
僕は京阪沿線の住民なので阪急は近くにある遠い存在ですね。
随分ご無沙汰してますが、久しぶりに乗ってみたいです。
阪急って垢抜けてて憧れる存在だったり(笑。
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