僕の大好きな松田聖子のアルバムに、『ユートピア』という作品がある。これは1983年にリリースされた彼女の7枚目のアルバムで、松田聖子のアルバムの中でも最高傑作との呼び声が高い作品である。甲斐よしひろ、杉真理、来生たかお、財津和夫、細野晴臣、呉田軽穂(ユーミン)、大村雅朗(主に編曲)など、ニューミュージック界から錚々たる作曲陣を連ね、作詞は全曲松本隆が手掛けている。まさに今振り返っても恐るべき才能が詰まったアルバム。しかも、聖子ちゃん初のデジタルレコーディングアルバムなので当時SONY最高の音質も味わうことが出来るのだ。
しかし、今回注目したいのはアルバムの内容ではなく、『ユートピア』の“ジャケ写”である。この水面に佇む松田聖子は、恐らく彼女の旬に、最も美しく表現されたフォトではないかと個人的には思っており、アルバムジャケット写真としても傑作で、見た瞬間から心を鷲掴みにされてしまう。
この最高に美しい松田聖子の写真が、実は当時影響を受けていたオリビア・ニュートン=ジョンのこちらのアルバム、『水の中の妖精(Come On Over)』へのオマージュであると言われているが、オリビアのフォトも最高に可愛く、どちらも素晴らしい写真である。
そしてもう一つ、『ユートピア』と共に忘れてはならないのが、こちらのグレース・ケリーの写真。同じくプールの水面に顔を出す美しきグレース・ケリー。僕はグレース・ケリーも大好きなので、この写真もグレース・ケリーのポートレートの中では一番好きな写真なのだが、聖子ちゃんとグレース・ケリーが奇しくも同じような水面写真をその絶頂期に残しているというのは実に感慨深い。
更に、以前ジェニファー・ローレンスが2019年にDior JOYのCMで見せたのがこちらの写真。これもまた、完全にグレース・ケリーへのオマージュではないかと思うが、何とも美しい仕上がりで、CMではジェニファーが口から“ピューッ”と水を吐き出すシーンがあり、これがまた何ともセクシーなのだ(思わず水をかけられたいと思ってしまう(笑))。
年代的には、グレース・ケリーの写真が1950年代に撮られたものなので一番古いが、続いて1976年のオリビア、1983年の聖子ちゃん、そして2019年のジェニファーだ。直接的な関係は別として、このように水面の妖精として脈々と印象的な写真が受け継がれているが、この何とも美しきモチーフにどうしても心惹かれてしまうのだ。水面なので色がブルー系だが、ブルーが異常に好きなのも僕が惹かれる要因かもしれない(笑)。
出来れば、今後ガッキーやユナにもこの水面ショットをぜひチャレンジしてもらいたいし、また意外なところで新たな水面美女に遭遇することを密かな楽しみにしたい。