松田聖子がこれまでシリーズでリリースしてきた『SEIKO JAZZ』シリーズ待望の第三弾、『SEIKO JAZZ 3』が、バレンタインデーの2/14にリリースされた。昨年ライブでも告知していたアルバムだが、ついにリリースの日を迎えたのだ。前作の『SEIKO JAZZ 2』からは5年ぶりとなるニューアルバムである。
今回も名門ジャズレーベルVerveから全米でもリリースされる予定。そして今回はQuincy Jonesの紹介により、世界最高峰のベーシストであるNathan Eastをプロデューサーに招聘し、LAと東京の2拠点で制作されたという気合の入れようなのだ。
これまでのSEIKO JAZZ 1と2も悪くなかったが、今回の第三弾は、兎に角選曲が素晴らしい!Jazzのスタンダードではなく、松田聖子が好きな曲をJazzアレンジにしており、その点で今まで以上に味わい深い珠玉の1枚に仕上がっている。想像していた以上にすっかり気に入ってしまった。
今回、下記12曲が収録されているが、どの曲も名曲揃いなので、一言だけコメントしてみたい。
(収録曲)
1) I’m Not In Love
イギリスのバンド10ccの代表曲。10ccは知らなくても、この曲は日本でもCMで良く起用されているので、耳にしたことがある人も多い筈。多くのアーティストにカバーされ続けているソフトロックの名曲である。
2) 赤いスイートピー (English Jazz Version)
松本隆作詞、呉田軽穂(ユーミン)作曲の黄金コンビによる自身の名曲を英語歌詞にしてJazz風にアレンジ。またオリジナルとは違った味わいを楽しめる。この曲のサックスがやたらカッコいいなあ~、と思ってうっとりしながら聴いていたら、なんとKenny Gが演奏していたことがわかり、納得(笑)。
3) Rock With You
ご存知マイケル・ジャクソンの名曲。『Off The Wall』に収録されていた曲で、僕が大好きなマイケル曲の一つでもあり、この選曲は本当に嬉しい!『SEIKO JAZZ 2』に収録されていた『Human Nature』に続くマイケル選曲で、やっぱり彼の素晴らしさも改めて痛感してしまう。
4) Tears In Heaven
あまりにも有名なエリック・クラプトンの名曲。オリジナルとはまた違う、聖子ちゃんらしい味わいがGood。それにしても、何と切なく、ソフトで美しい曲なのだろう。クラプトン版とも聴き比べたくなってしまう。
5) The Sweetest Taboo
POPが制覇していた80年代の欧米ミュージックシーンの中で、コンテンポラリーアーバンソウルとして唯一無二な存在として異彩を放っていたシャーデーの代表曲だが、この曲を選曲に持ってくるあたりがかなり憎い!
6) How Deep Is Your Love
あのビージーズのヒットシングルで、CMなどでも良く起用されているので知っている人も多いと思うが、どうやら松田聖子がアルバム制作の後半に追加制作を決めた曲。ビージーズのヒット曲の中でもソフトな曲だが、今回のバージョンを聴いていると、Jazzアレンジというのが実にマッチすることに気が付いてしまった。素晴らしい!
7) Killing Me Softly With His Song
この曲も色々なCMやBGMとして今でも良く起用されている名曲で、これまた素晴らしい選曲である。オリジナルはLori Liebermanによる曲だが、その後Roberta Flackが1973年にカバーして大ヒットを記録した。
8) Chasing Cars
これは意外な選曲ながら、よくぞ選んでくれました!と思わず唸ってしまった1曲。みんな1度は聴いたことはあると思われるSnow Patrolによる大ヒットナンバー。オリジナルも素晴らしいが、今回の聖子ちゃんによるJazzバージョンも秀逸。
9) Saving All My Love For You
オリジナルはマリリン・マック&ビリー・デイヴィスJrによるマイナーな曲だったが、1985年にホイットニー・ヒューストンのデビューシングルとしてカバー版がリリースされ、大ヒットした曲として当時僕の記憶にも刻まれた、思い出深い名曲!
10) Paradise
これもシャーデーの代表曲。2曲もシャーデーの曲を入れてくるあたりもなかなか素晴らしい。この曲は今でも時々聴きたくなってしまうが、何とも大人っぽい曲だなあ、と80年代当時から思いながら、ちょっと背伸びした感覚で聴いていたのが懐かしい。
11) Love…Thy Will Be Done
90年代に『Toy Soldiers』が大ヒットしたMartikaが1991年にリリースしたアルバム『Martika’s Kitchen』に収録されていた曲。実はこの曲を知らなかったのだが、オリジナルも聴いてみたところ実にいい曲である。どこか日本の歌謡曲的な雰囲気も漂うので聖子ちゃんが歌っても違和感が無い。オリジナルはあのPrinceが共同プロデュースしてだけあってPrince色が濃い(笑)。
12) How Deep Is Your Love (w/Nathan East)
6曲目を、ネイザン・イーストとのデュエットバージョンとして収録。
今回の『SEIKO JAZZ 3』を聴いてみて、聖子ちゃんのJAZZシリーズとしても一番素晴らしく、名曲に乗った彼女の最新の歌声をジャズアレンジで堪能出来たことが大きいが、同時にカバーした名曲たちのオリジナルをまた聴きたくさせてくれた。大好きなマイケルもさることながら、Bee Geesやシャーデー、Snow Patrolなどは特にオリジナルが聴きたくなってしまった。そんな楽しみ方も出来る素晴らしいアルバムであった。今年のライブでは何曲か『SEIKO JAZZ 3』からも生披露して欲しいものである。
そして最後に一言。やっぱり還暦を過ぎても聖子ちゃんは可愛い(笑)。