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今年の夏も、やっぱり村上春樹のエッセイ集

ちょうど昨年の8月のブログで、村上春樹のエッセイ集、
『おおきなかぶ、むずかしいアボカド 村上ラヂオ2』を
読んだことを取り上げたが、今年も夏場に差し鰍ゥった
この時期に、エッセイ集第三弾、
『サラダ好きのライオン 村上ラヂオ3』が発売され、
またまた購入してしまった。



今回もまた、興味を惹かれるユニークなタイトル。
そして、相変わらず大橋歩さんのイラストが実にいい。
シンプルながら秀逸な装飾デザインを含め、
なんとなく手に取って読みたくなってしまう本である。

兎に角、力の抜けた脱力感のあるエッセイが読みやすい。
アンアンに連載された、全52編から構成されているが、
1編がそれぞれ大橋歩さんのイラストページを入れて4ページ。
通勤電車で読んでいると、一気にスラスラ読めてしまうのだ。
今回も大橋歩のイラストが描かれた栞が付いているが、
エピソードの1つに登場する犬のイラストで、
なかなかおしゃれである。



読みやすさもさることながら、“あるある!”と
思えるような、共感出来るエピソードが多く、
勝手に村上春樹の生活を疑似体験出来たような気になってしまう。

今回共感したのは、アメリカのボストンで有名な
ブルーリボンビールに関する話。村上春樹も
書いているように、確かにこのビールは値段も高く無い普通のビールで、
労働者向けビールという位置づけだが、
これが意外にもさっぱりして美味しいのだ。
僕もアメリカに出張に行く時、必ず飲むビールに
サミュエルアダムズ(これもエッセイの中に登場)やアンカースティームがあるが、
このブルーリボンビールも見つけた時は、つい飲んでしまう。




そして、各エピソードの最後に、『今週の村上』という
独り言のような一行コメントが載っているが、
和んでしまうものが多く、とても面白い。

例えば、
- 「高田馬場と裸のばばあ」ってわりに聴き間違えやすいですよね。そんなことないのかな?
- 太田胃散はいつか世界遺産になるんでしょうか。どうでもいいことだけど。
- 「何回読んでも難解だ」という文章が、意味もなく頭から離れません。何とかしてほしい。
- 市川海老蔵さんと食事をするとき、海老天丼を頼んだりするとやはり失礼にあたるんでしょうか?
- レレレのおじさんって、どんなちりとりを使っていたっけ?思い出せません。
- 誰か暇があったら、世田谷区に「用賀ヨーガ教室」をつくってくれませんか。
- 洗面所に入ってTOTOというロゴを目にするたびに、つい「ロザンナ」を口ずさんでしまうのは、僕くらいかな?

という具合に、かなり“あるある!”系で面白い。すっかり癒されてしまう。

この村上春樹のエッセイは、何だか“ヤクルト”みたいである。
それぞれの話は短く、ヤクルトで言えば、”もっと飲みたい、1リットルサイズがあればなあ~”、
と思ってしまうが、やっぱりこれは短いから良いのだ、と。
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