2021年に出版され話題になっていた『変な家』という小説がある。インターネットを中心に活動するホラー小説家の雨穴(うけつ)による小説だが、何とも奇妙な部屋の間取りをテーマにした小説としてベストセラーとなり、今年映画化も決定。3月から間宮祥太郎、佐藤二朗、川栄李奈主演で公開されることも決まった。
映画化が決まったことをきっかけに、僕もこの本のことがむしょうに気になるようになり、ついに先日小説を購入した。何となく不気味なホラー作品なのかと思って、ちょっと身構えて読み始めてみた。一見パッと見は問題があるように見えない部屋の間取りが登場するが、筆者と、設計士の栗原さんという方が登場し、その間取りの違和感を指摘していく。するとそれまで別に変った間取りだとはあまり思わなかった部屋が、突如異常な殺気を宿した部屋に変わっていくのだ。
ホラー小説とは少し毛色が違うのだが、それでも何とも言えない不気味さと、謎解きミステリー的な面白さがあって、その違和感のある間取りの真相に迫っていく物語である。小説というよりはどこかドキュメンタリーみたいな臨場感もあってなかなか面白い。僕は建築も好きなので、家の間取りなどにもかなり興味がある。自分の家を建てた時も間取りや動線にかなり頭を悩ませたものだ。
その間取りが変な家は、実は痛ましく、恐ろしい秘密が隠されていたという驚愕の事実を知ることになっていくのだ。一度読みだすとどんどん引き込まれて止まらなくなり、いつの間にか一気に読んでしまったが、なかなか新しい感覚の小説であった。この本を読んでいて、やっぱり家というものには様々な物語が潜んでいて、それは必ずしもいいものばかりではなく、不気味で恐ろしいエピソードが宿る家や間取りも実は結構あるのかもしれないと思ってしまった。
映画では小説での展開がどのように描写されていくのかもちょっと興味があるが、もしかすると映画も観に行ってしまうかも。尚、作者の雨穴からは、続編となる『変な家2』と、どこかおかしい絵を取り上げた姉妹編的な『変な絵』という作品も出版されており、この2冊も続けて購入してしまった。こちらの感想はまた別途取り上げてみたいと思う。