正直あまり任侠映画は好きでは無いので、最初はこの映画を見ることにやや抵抗感があった。しかし、芦川いづみの出演作ということで思い切ってDVDを入手して観賞してみることに。
結論として、この映画を見て本当に良かった。任侠映画とはいえ、かなり面白いアクション映画となっており、舛田利雄監督作らしく、アクションのテンモェ良く、展開の早さで全く飽きさせない。主演は若き日の高橋英樹。何とも男前で、カッコいいのだ。この映画の3年前に公開された、『青い山脈』(吉永小百合、芦川いづみ共演)では、まだ初々しい若き高橋英樹であったが、3年後に主演したこの『日本任侠伝 血祭り喧嘩状』では、ある程度大人の魅力も出て更に味わいが増している。
そして芦川いづみ目当てで観賞したが、芦川いづみは重要な役ではあるものの、主演シーンはそう多くはない。それでも映画として大変面白かったので、観賞して満足である。
映画は、華族の出でありながら自由を求めて家を飛び出し、刺青を背負う渡世人となった牡丹の銀次郎(高橋英樹)の物語。黒岩一家の客人となった銀次郎は、一宿一飯の義理で殴り込みに来た白浜組の親分を斬ってしまう。しかし、割れた般若の面から現れたのは、目を斬られた女親分の小春(芦川いづみ)であった。女に刃を向けたことにショックを受けた銀次郎は、小春と、その妹の玉枝(和泉雅子)に、今後一切刃物を封じる誓いを立て、旅に出る。だが、美貌の姉妹に目を付けた黒岩は、姉妹の拉致を拒んだ子分の宮川(藤竜也)を斬り、宮川の兄清次(宍戸錠)に、銀次郎がやったと嘘を吹き込んだ。。。
この映画、高橋英樹と芦川いづみの共演だけでも豪華なのだが、当時人気が出始めていた日活若手女優の和泉雅子、そして太田雅子(後の梶芽衣子)も共演しており、何とも華やかな女優陣である。そして梶芽衣子が何とも初々しくて可愛い。後に、あのタランティーノ監督が大好きと公言し、『キルビル』でもオマージュを演じて見せた『修羅雪姫』にも主演し、1970年代に人気女優となったが、この頃はまだ実に初々しい美しさがとても眩しい。
そして宍戸錠も共演しているが、何とも癖の強い役柄を好演している。
芦川いづみは、目を斬られて視力を失う白浜組の女親分を演じているが、1966年と言えば、彼女が藤竜也(この映画にも出演)と結婚して引退してしまう1968年の2年前。たくさんの芦川いづみ映画を見て来た中で思うのは、やはり1958年から1962年くらいまでが彼女のピークで、1964年以降は主役というよりも、売り出し中の若手女優などを上手く支えるような役回りが増えていたように思う。この時期は和泉雅子や吉永さゆり、そして浅丘ルリ子などの人気が高まっていたことも有り、女優も世代交代が進みだしていたのだろう。
その意味では、本作は芦川いづみの映画人生における、晩年の作品とも言えるが、映画としてはかなり面白かったと思うものの、芦川いづみとしての視点で観ると、やはり物足りなさが残る作品だろう。
まさか自分が50年以上も前に公開された任侠映画を観るとは思っていなかったが、意外にも楽しむことが出来たし、梶芽衣子の『修羅雪姫』がむしょうに観たくなってきてしまった。。。
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