最近ではすっかりテレビで姿を見なくなってしまった中森明菜。今年はデビュー40周年だというのにとても残念である。と思っていた矢先に、なんと1989年によみうりランドEASTで行われた伝説のコンサートと言われるスペシャルライブ映像をNHK BSプレミアムで4月にやっていたらしいのだが、すっかり見過ごしてしまい悔しく思っていたところ、NHKでも7月10日に再放送されたので無事録画して観賞することが出来た(1回地震があった関係で延期され、やっと7月10日に無事放送されたのだ)。
しかしこのライブかなり豪華というか、完全にベストヒットライブである。1989年当時はまさに明菜絶頂期であり、かなりのヒット曲を蓄積していた頃なので、それまでのヒットシングルを全て披露するというファンにはたまらない内容で、一番見応え、聴き応えのある彼女の旬なタイミングであったと言える。
そのセットリストが下記24曲。ほぼシングルヒットで固めた豪華なセットリストである。
TATOO
DESIRE~情熱~
Fin
SOLITUDE
BLONDE
I MISSED “THE SHOCK”
SAND BEIGE – 砂漠へ=
AL-MAUJ (アルマージ)
ジプシー・クイーン
TANGO NOIR (タンゴ・ノアール)
ミ・アモーレ
難破船
飾りじゃないのよ涙は
禁区
少女A
十戒 (1984)
1/2の神話
サザン・ウィンド
北ウィング
Blue On Pink
LIAR
トワイライト-夕暮れ便り-
セカンド・ラブ
スローモーション
僕はこの中でも、特に『セカンド・ラブ』、『北ウィング』、『スローモーション』、『禁区』、『サザン・ウィンド』が好きなのだが、どれもチャートを賑わせ、トップに君臨した懐かしいヒット曲ばかりである。『セカンド・ラブ』は僕が最初に買った明菜のシングルレコードで、今でも実家で大切に保管しているくらい好きな曲だ。
個人的にはデビュー間もない1982年頃のまだあどけなさが残る明菜が一番可愛いくて好きだが、それでもこの1989年頃の明菜も大人びてきて色気が増し、レコード大賞も2年連続で受賞した経歴も加えた“歌姫”としての貫禄が漂う。
なぜこの1989年のライブが“伝説のライブ”と呼ばれているのかという理由だが、まさに全シングルをこのタイミングで歌いあげていること、歌唱力的にも全盛期であったこと、そしてこのライブの翌年にあの近藤真彦との関係による自殺未遂騒動が起きてしまい、1991年以降は低迷期に入ってしまう為、まさにこの1989年が中森明菜の歌手人生における絶頂期とも言える絶妙なタイミングで残された貴重映像なのである。
続いて、2009年に横浜BLITZで行われたライブ映像もNHK BSプレミアムで、まさに昨日7月15日に放送された(今回は見逃すことなく、BSで観ることが出来た!)。こちらは、「AKINA NAKAMORI Special Live 2009 ”Empress at Yokohama”」と題された公演で、明菜のライフワークでもあるカバー曲で構成された「歌姫LIVE」の一環で、松任谷由実、中島みゆき、井上陽水など、フォーク~ニューミュージック系アーティストの大ヒット曲のカバーで構成された唯一無二のステージ。とても貴重なステージであったが、今度はだいぶ大人っぽい明菜がそこにいて、この映像もまた観ることが出来たのは感無量である。
こちらのセットリストは下記15曲。なかなか興味深いカバー曲ばかりだが、特に薬師丸ひろ子の『Woman』、ユーミンの『ベルベットイースター』、布施明の『シクラメンのかほり』などは良かった。1989年のライブに比べるとかなり最近のような気がしてしまうが、それでも2009年なのでもう13年も前のライブである。
私は泣いています
学生街の喫茶店
旅の宿
心もよう
無縁坂
シクラメンのかほり
ダンスはうまく踊れない
Woman
ベルベットイースター
悪女
22才の別れ
雨の物語
I LOVE YOU
恋
I hope so
僕は松田聖子が一番好きではあるが、当時は聖子ちゃん、明菜ちゃん、キョンキョンも良く聴いていたものだ。そして、どこか突っ張った、強くてクールなイメージで売っていた明菜と、ぶりっ子で売っていた聖子は、実際の性格は対照的に、明菜はかなり繊細で壊れやすい性格だった。常に女王に君臨するだけの心臓は無かったのかもしれない。一方、聖子ちゃんはかなり強かで、可愛いふりしてかなり肝っ玉が据わったつわものであったと言える。そんな2人の対象的な性格が、その後のキャリアと人生に色濃く反映されてしまった。
松田聖子がいまだに最前線で毎年精力的にライブをこなしていることに比べて、すっかりファンの前に姿を見せなくなり、ライブも行わなくなってしまった明菜の40周年はあまりにも寂し過ぎる。しかし、この1989年の伝説のライブと、2009年のライブ模様を観ることが出来たのは、せめてもの良い40周年記念となった。中森明菜にはぜひまたいつか、みんなの前に登場して欲しいし、歌でも華麗なる復活を果たして貰いたいものである。