彼女のデビューのきっかけも実に面白い。クリスティーナ・アギレラやイン・シンクなどを手鰍ッた大物プロデューサーであるイヴァン・ロジャーズが、奥さんとバルバドスに旅行中、たまたまRihannaを発掘。その後彼女をすぐに米国に呼び寄せ、DefJamの社長であるJay Zに引き合わせ、なんと12時間でアーティスト契約を締結したという、まさに嘘のような本当のシンデレラストーリー。彼女の低く、太くて、キレのある歌声は実に独特で魅力的だが、よくもこんな才能がバルバドスに存在していたものだ。19歳の彼女は、どうやらブランディー、ビヨンセなどの大ファンだったようで、まさに新世代のR&Bアーティストと言えるだろう。
R&Bとレゲーのエッセンスを取り入れたような独特なビートが気持ちいい、2005年リリースの彼女のファーストシングル「Pon de Replay」は全米/全英チャートで2位まで駆け上がり、クラブシーンで大ヒット。僕もこの曲は当時出張中の車のラジオで聴いてすぐに取り付かれ、誰の何と言う曲だろう? と思ったところから調べて、新人Rihannaであることがその後判明した。同時期に大ヒットしていたBlack Eyed Peasの「Don’t Phunk with My Heart」やPussy Cat Dollsの「Don’t cha」と並んで、実に耳に残るタイプの軽快なダンスビートだった。そして続くセカンドアルバムからは、SoftCellのカバーで有名な「Tainted Love」のリズムをサンプリングしたシングル「SOS」、以前紹介したNe-Yoが提供したバラードの傑作「Unfaithful」が共に大ブレイク。
そして現在サードアルバム「Good Girl Gone Bad」からは、シングル「Umbrella」が瞬く間にヒットチャートを駆け上がり、現在Billboard HOT 100で1位を獲得するという状況。「Umbrella」はPVもなかなかカッコいい仕上がりだ。今回のサードアルバムでは、そのアルバムタイトル通り、今までよりも大人のセクシーさ、bad girl的なイメージで制作されたアルバムで、Jay ZやNe-Yoもフィーチャーした傑作になっており、アルバム毎に確実な成長を遂げている印象を受ける。新しいR&Bとしての斬新さも感じつつ、80'sのような懐かしさも兼ね備えた作品だが、2曲目の「Push Up On Me」の冒頭が、ライオネル・リッチーの「Running with The Night」に似ており、3曲目の「Don't Stop The Music」に至っては、あのマイケル・ジャクソンの「Don't Stop Till You Get Enough」を大胆にサンプリングしたノリノリの作品になっており、実に軽快だ。
Rihannaはこれからが益々楽しみな大物新人アーティストなのだ。
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