いつも観ている『関ジャム 完全燃SHOW』で、毎年年明けに恒例となっている、“プロが選ぶ年間マイベスト10曲”が今年も放送され、蔦谷好位置、いしわたり淳治、佐藤千亜紀の3人がそれぞれ2022年度のマイベスト10曲を発表した。この企画はいつもかなり参考にしているので今年も楽しみにしていたが、そんな中で蔦谷好位置が2位に選出していたBialystocksというバンドの、『灯台』という曲が実に素晴らしく、すっかり気に入ってしまった。
Bialystocksとは2019年に結成された、まだ比較的新しいバンドで、ボーカルの甫木元空(ほきもと そら)と、ジャズに傾倒する菊池剛による2人組。元々結成時には4人組だったらしいが、今はこの2人に落ち着いたようだ。今まで全く知らなかったのだが、どうやら甫木元が監督・音楽を担当した映画『はるねこ』がきっかけでバンドデビューしたらしい。まだ多くの情報は出ていないが、なかなか異色のバンドである。
『灯台』を収録したセカンドアルバム『Quicksand』を昨年の11月にリリースして、今年に入ってミニアルバムも出しているので早速チェックしてみたが、このセカンドアルバムがまた何とも素晴らしいのだ。
シングル『灯台』を聴いた時にかなり衝撃を受けたが、サウンド的にはどこかKing Gnuに近い哀愁感のあるサビのメロディが特徴的。ボーカルの甫木元のハイトーンボイスも素晴らしく、何とも都会的でセンスのいい曲となっていることに驚いた。そしてアルバム全体を聴いてみると、単独曲としては『灯台』を超えるものは無いものの、アルバム曲にもかなり気に入ってしまった曲もあり、アルバム全体としてもバランスが取れている。そして、恐らく菊池の影響だろうが、どことなくジャズ的なセンスが全体に漂っており、なかなか他には無い魅力を持ったバンドであることを痛感した。
アルバム『Quicksand』に収録されているのは下記10曲。
- 朝霧
- 灯台
- 日々の手触り
- あくびのカーブ
- ただで太った人生
- Upon You
- Winter
- 差し色
- はだかのゆめ
- 雨宿り
『灯台』の素晴らしさは群を抜いているが、他に僕が気に入ったのは爽やかで明るい躍動感が漂う『Upon You』、寒くも美しい冬を連想させ、コーラスワークが美しい『Winter』、遠い記憶を呼び覚ますような哀愁あるハイトーンヴォーカルの立ち上がりから、途中ロック調になるところが秀逸な『雨宿り』なども好きな曲だ。全体的にはポップながら、どこかジャズ的な雰囲気も根底に流れるのが魅力的である。
『Quicksand』があまりにも素晴らしかったので、遡ってファーストアルバムの『Bialystocks』も聴いたが、やっぱりなかなか良い。ある程度のバリエーションはあるものの、根底に流れる作曲センスに統一感があり、そこにハイトーンボーカルが組み合わさり、彼ら独特の世界観が形成されている。
2023年は彼らの活躍に益々注目したいが、間違いなく今年注目の実力派バンドだと感じた。さすが蔦谷好位置は目の付けどころもいつも好位置である(笑)。