
読んでみたところ、基本的には同姓であり、最も娘と過ごす時間が長い“母親”に宛てた本だが、父親としても理解しておかなければならないこと、そして親として参考になる要素がたくさん詰まった“気付き”が大変に多い本だったので紹介したい。
『とにかく、うちの娘には幸せになってほしい!』と、親なら誰もが思うこと、そしてどうすればその理想的な状態に近づけることが出来るかを、娘の0歳から15歳くらいまでの成長過程を通じて重要と思われることを解説しながら、女の子に育てたい力は、「人を愛し、人から愛される幸せな人生を、自らの生きがいをもって賢明に生きていくことが出来る女性」であると総括しているが、この中で自分が最も印象的であった基本コンセプトを幾つか紹介したい。
① 子供は天の上にいる時から、「このお父さん、お母さんにしよう」と選んでゆっくりとこの世に降りてくるということをイメージし、暖かい「心のまなざし」で子供と接し、成長を見守ってあげてほしい。
② ラブ & ハッピーに満ちた女の子の後ろには、必ずハッピーなお母さんがいる。そして、親はお子さんに辛いことがあったら、いつでも帰っていくことが出来る『安全基地』になることがなによりも大事。
③「タッチング」と「ャWティブな言葉がけ」で思いっきり愛情を伝えよう。
④「小さながんばり」を見つけて、具体的にほめよう。
⑤ 娘が「ぼーっとしている時」こそ、豊かな内面活動が行われている。
⑥ モテる女性の秘密は自分のことが好きという『自己肯定感』。『自己肯定感(=自信/自尊感情)』は親が子供に贈ることが出来る最大のプレゼント。
⑦ 人生を生きていく上で何よりも重要なことの1つ。それは、お子さんが「これさえあれば幸せ!」と感じられる「没頭出来る何か」を見つけること。
上記①はとてもコンセプチュアルなものだし、②もかなり当たり前のように感じるかもしれないが、こういった感覚を忘れず、③にもあるように常に愛情を持って娘に接し、暖かく見守ることがハッピーで幸福感に満ちた娘に育てる大原則であることを改めて感じた。また、⑥にある『自己肯定感』は娘に愛情を注ぐことで育まれていくことも新たな気付きであった。
どうしても娘が何か失敗したり、バカなことをするとがっかりするあまりついつい「どうしておまえはそんなにダメダメなんだ」的な物の言い方をしてしまいがちだが、④にあるように、娘の小さな頑張りや、そのプロセスを認識して褒めること、自尊心を傷付けずに注意するような言い方を心鰍ッること、そしてその小さな積み重ねがとても大事であることも再認識した。
⑤に関しても読んでいてかなりハッとさせられたが、特にうちの娘はやることが全て遅く、ボーっとしている時間も多いのでイライラしてしまうが、こうした時間が実は内面活動が活発に行われている時間として大切であるという事実は新たな発見であった。
また、⑦に関しては例えば漫画を描くのが好きな子供に「漫画ばっかり描いてないで、勉強しなさい!」と叱るような例が紹介されているが、実はこう言うことで子供が夢中になれそうな行動の芽を潰してしまう危険性などが説明されており、最近、大学生の中で「夢中になれるものがありません」と応える学生が増えていて、就職活動などでも苦労するケースなどが挙げられている。
これ以外にも成長過程でャCントとなるアドバイスがたくさん紹介されている。0-6歳までの乳幼児期は兎に角溺愛することが大切であり、6歳から10-12歳くらいのしつけ期では愛情を注ぎながらも、しっかりとした家庭のルールを設けて、メリハリをつけた生活リズムを与えることの重要性を解説。思春期を迎える12-18歳は、思春期特有の「グループ化」とその中での人間関係やピアプレッシャーにも直面する時期であり、この時期の対応は“アサーション”と呼ばれる相手を大切にしながらも自分の気持ちをはっきり伝える方法を取るというテクニックなど、とても興味深いアドバイスが満載。
これ以外にも娘の学力を伸ばす為のヒント、娘にあった学校の選び方や仕事を選んでいく際のャCントなど、いじめへの対応等、多岐に渡って触れられている。また、母と娘の絆についてもかなり触れられており興味深いが、女の子は特に同姓である母親からの影響を受け、想像以上にお母さんの期待に応えたいと思っていることや、お母さんの期待のかけすぎは女の子を潰してしまうこと、また時には子供と同じ目線になり、弱音をはくことなども重要であることなども挙げられている。
残念ながら父親に関する項目はそう多くないものの、娘の恋愛感や結婚観は最も身近な異性である父親の影響が大きいことや、お父さんは、娘のために「いいオトコ」になるよう、常に心鰍ッるべきであることなど、耳の痛い話も書かれており、ここでも気付きが多かった。
軽い気持ちで興味を持ち、手にとった本ではあったが、読んでみて意外にもかなりの気付きがあり、とても勉強になった。と同時に娘の親、特に父親としても娘に対してしてあげられることがたくさんあるんだということや、娘との接し方や話し方など、今後自分自身、実践してみたい内容も多く、とても参考になる本であった。