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愛犬きなこに思いを馳せて読む本~『教養としての犬』

先日本屋を散策していたら、『教養としての犬』というタイトルの本を見つけた。少し前にブログで取り上げたイラストレーター、“てらおか なつみ”さんがまた表紙のイラストを手掛けており、思わず目に留まったものだが、ワンちゃんをテーマにした本で面白そうだったので、購入した。ワンちゃんを飼っている人、犬が純粋に好きな人には特に面白い気付きがあると思うので、とてもおススメでの1冊である。

内容は、犬に関する130の知識が詰まったもので、かなり興味深い。まさに犬の起源を紐解くものや、世界、そして日本における人間と犬の歴史、犬種と遺伝子の話、そして犬の身体能力や知能、驚きの生態と行動など多岐に渡っている。130もあるテーマはそれぞれ1ページくらいなので短い為とても読みやすく、また単に犬のうんちくを纏めたものでもなく、今まであまり知らなかった犬の情報が満載であった。

本の前書きとして書かれているが、犬は人間にとって最も身近で親しい動物であり、人間と犬の歴史も実に長い。犬は太古の昔から、人類と共に暮らしてきた存在なのだ。時に人間の役に立ち、時に人間を癒し、寄り添う存在となってきたが、それは犬が他の動物とは違った特性を持っていたからである。そしてまた人間も、そんな犬の存在をいつの時代にも特別なものだと感じてきた歴史なども取り上げられている。

また興味深いのは、犬のルーツは古代オオカミから派生したタイリクオオカミであり、長い年月をかけて多くの犬種に枝分かれしていったようだ。また化学が発達した今の時代では、色々な新しいことがわかるようになったが、犬の遺伝子に関する研究もかなり進んでいる。その中で、タイリクオオカミのDNAに一番近いのが、“芝犬”であることなども書かれていたのも大変興味深い。知能は高く、飼い主に忠実で、時に戦闘的であった古来の日本犬はオオカミのDNAを色濃く受け継いでいるようで、例えば同じ犬でも、愛玩犬として欧州から広まったプードルなどとは大きく異なる性質を持っているわけだ。

この本は歴史や化学だけの話ではなく、犬種による犬の特性や、犬個々の性格、身体能力、生態など、愛犬との接し方においても参考になるテーマも多く掲載されている。犬は赤色が認識出来ないとか、6週間前のにおいを嗅ぎ取れるとか、怪しいにおいは右の鼻で嗅ぐとか、モーツァルトを聴くと落ち着くとか、ストライプは苦手とか・・・。かなり面白い豆知識も多く取り上げられているのだ。

また、忠犬ハチ公、フランダースの犬、西郷さんの犬、南極物語で取り上げられたタロとジロなど、歴史上有名なワンちゃんなどのエピソードや、日本では聖徳太子の愛犬や、江戸時代“生類憐みの令“で特に犬を可愛がった徳川綱吉、犬を溺愛していたビクトリア女王、チンギス・ハンが集めた犬たちなど、かなり面白いエピソードも掲載されている。また江戸時代、飼い主の代わりに伊勢神宮にお参りしていた”おかげ犬“など、犬にまつわる物語は実に多い。

犬に関してかなり広範囲なテーマで取り上げられているこの本を読んで、何だか益々きなこへの愛が深まったような気がする。人間と犬は会話による意思疎通は出来ないが、それでも動物の中では、お互いに気持ちを読み取ることがかなり出来る動物である。100%はわからなくても、少しでもきなこが考えていること、その気持ちを理解することが出来たらと常に思っているが、この本に書かれていた犬の性格や生態などの理解を少しだけ深めることが出来たことも、またより一層きなこへの理解が深まるきっかけになった。

また犬の寿命は犬種やサイズによって幅があるが、トイプードルの平均寿命約15年。犬の中では比較的長い方ではあるが、やはり人間の一生に比べればあまりにも短い。そんな短い犬の一生を出来るだけ豊かなものにしてあげたい、いっぱい愛を与えたい・・・。そんなことを改めて考えさせられた。

最後130個目のテーマに、『犬と人のあいだに生まれた絆は、永遠に失われない』というのがあった。忠犬ハチ公がいつまでも渋谷駅で飼い主を待ち続けたが、同じような犬のエピソードは実に多いらしい。犬がそうであるように、人間にとっても愛するワンちゃんは決して忘れることのない存在だ。こうしていつの時代にも、人と犬の間にはかけがえのない関係性が構築されてきた歴史があることを改めて思い知らされたが、犬に関する教養として、とても貴重な1冊となった。

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