先日、大変希少価値が高い、横山光輝の『夜光島魔人』の単行本第1巻を入手したばかりだが、今回なんとその第2巻を入手することに成功した! 『夜光島魔人』の単行本は全2巻なので、これでコンプリートしたことになるが、希少価値が高く、殆ど出回らないこの2冊をこんなに早く揃えることが出来たというのは本当に奇跡に近い。それなりに高かったが、相場よりはかなり安く手に入れることが出来た。しかしこの作品は多少のお金を出してでも入手する価値があり、横山光輝漫画コレクターとしては是が日でも手に入れたい作品だった。先日の第1巻に加え、今回第2巻までも入手出来たのは本当に奇跡的だが、これもまさに“出会い”と“タイミング”が全てである。
『夜光島魔人』の単行本版は昭和36年(1961年)に出版されたものだが、元々は1960年から1961年にかけて約1年間、雑誌『たのしい四年生』に連載されていた漫画で、全200ページくらいほどの中編作品だ。現在読めるのが講談社漫画文庫の文庫本版と、今年6月にゲットしたアップルBOX版で、こちらは両方既に持っている。そして、一番レアで入手困難なのが1961年に単行本化されたものだ。しかしこの単行本版は殆ど出回っておらず、なかなか手に入らない代物。ゲットするのは恐らく難しいと長らく思っていたが、そんな中、なんとこの幻にも近い単行本を2巻ともゲット出来たのは本当にラッキーとしか言いようが無い。
今回入手した単行本版は2巻とも初版本。もう62年も前に出版されたものなので、第1巻同様、第2巻もさすがにかなり痛んでいるし、背表紙の破れや若干のワレ、各ページに染みや汚れも結構あるが、それでもオリジナルのカバーが付いた状態で保存されているものはレアで、そうたくさん出回っていない為、かなり貴重で、歴史的な重みを感じられるのがまた楽しい。
横山光輝は、手塚治虫と並んで僕が最も好きで尊敬する漫画家の一人。彼の古書漫画をコレクションするのが趣味の一つで、これまでも代表作である『鉄人28号』、『伊賀の影丸』、『おてんば天使』などの貴重な古書漫画の初版本などを所持しているが、この『夜光島魔人』の単行本版もファンの間では人気の高い作品。状態にも寄るが、市場では少なくとも30,000-50,000円くらいはする単行本である。独特の横山光輝タッチ満載な装丁・表紙を見ているだけでワクワクしてしまう。
『夜光島魔人』のストーリーも一応簡単に紹介しておきたい。映画を観た帰りに海岸を散歩していた山形武と三郎の兄弟は、叫び声を聞いて駆けつけると、そこには男が横たわっていて、『夜行島』と言い残して息絶える。また、海上にアカエイのようなものが飛んでいるのを見る。事件を警察に通報したあと帰宅した兄弟は、見たものを確認する為、アカエイを撮影した赤外線カメラのフィルムを現像してみるが、そこには確かにアカエイが写っており、改めて兄弟は警察に報告。しかし、担当の刑事が来るのを待っている間に、兄弟の家はアカエイに襲われ、フィルムは奪われてしまう。そして二人は刑事と共に、『夜光島』探索を始めるのだったが、『夜光島』を基地にするアカエイとそれを操る組織の手によって捕えられてしまい、島の地下工場で働かされることになってしまう。果たして、『夜光島』とは一体なんなのか、またアカエイを操る組織の黒幕は誰なのか?というのが大まかなあらすじである。
正直ストーリーそのものとしては横山光輝作品の中ではかなりライトな方で、ストーリーテリングがいつも冴える横山光輝作品の中ではかなり展開の緩い作品。その意味で決して最高傑作とはいいがたい出来映えなのだが、この緩さも含めてなかなか愛すべき中編作品と言えるし、雑誌連載だけでなく、当時ちゃんと単行本化までされている作品はそう多くないことからもかなり貴重な”漫画遺産”なので、全2巻揃えることが出来たのは本当に感動的である。こんなに早く今回コンプリートした達成感を噛みしめているが、やはり2冊揃うと当時の息吹が感じられて、その重みがまた格別である。