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僕の好きな画家、マッケンジー・ソープ

僕の大好きな画家の1人に、英国の画家マッケンジー・ソープがいる。以前、サンノゼ出張の際のブログでも書いたが、あの後カーメル (以前クリント・イーストウッドが市長を勤めていたサンノゼの南にある魅力的な町)のギャラリーでまだ未入荷だったマッケンジー・ソープの最新画集、「A Crossroads」を発見したので購入してきたのだが、この画集の発売を記念して、日本でもこの度彼の作品がホテルオークラで27日まで公開されることになったので、今週展示会を訪れた。日本では、ギャラリー江夏がマッケンジー・ソープの作品の総代理店を勤めているらしく、今回の展示会を主催している。



今回予想よりもかなり多くの作品が展示されており、新作も含まれていて実に素晴らしかった。最近、マッケンジーは絵画だけでは無く、彫刻にも力を入れており、かなり大型のものも手掛けている。小さな彫刻は売られてもいるが、これが彼の絵をそのままに見事に可愛らしい彫刻に仕上がっているものもあって、実に楽しい。今回、「Sitting on Love」(下記)が展示されていた。

マッケンジー・ソープは、幼い頃から”難読症”という読み書きが充分に出来ない障害を抱えており、その関係で学校でも勉強や試験がうまく出来ず苦労したらしい。ある程度大きくなってからは造船所で働き、暗い船底などを磨く仕事をしていたが、どうやらこれも長くは続かなかった模様。やがてこの仕事も解雇されることになり、仕事も無いどん底の状態も経験した。そんな時に彼の友人の薦めで美術学校に入学し、芸術の道に進むことになる。画家として成功するまでにはかなりの時間がかかったが、こうして彼は逆境を乗り越え、自分のハンデを成功に変えていったのである。今ではイギリスをはじめ、世界中でもブレイクしており、マドンナ、アンドレ・アガシ、エルトン・ジョン、イギリスのアン王女など、世界中のセレブからも愛される画家となり、すっかり有名になった。ところで、この”難読症”だが、程度の問題こそあれ、実は映画俳優、アーティストや芸能人に多く存在することがわかった。驚くことに、例えばトム・クルーズ、スティーブン・スピルバーグ、ジャッキー・チェン、クインティン・タランティーノ、古くはモーツアルト、ゴッホなども難読症を抱えていたらしいのだ。しかし、このような障害を持つ人は、特に右脳的・芸術的な才能が豊かな一面を持つことを痛感させられる。

僕が最初にマッケンジー・ソープの作品に出会ったのは2000年頃、シリコンバレーに駐在していた時にサンフランシスコ北のギャラリーが多く集まるSausalitoという町のとあるギャラリーで発見した彼の作品「Hope, Love and Joy」だった(下記)。この絵は、四角い体に、黒く小さな顔がちょこんと上に乗っている、黄、赤、青の3色の羊をモチーフにした作品で、本当に心を暖かくしてくれるようなその鮮やかな色使いと優しいタッチの作品で、実にポップ性も高い。この作品は限定版画でかなりサイズ的にも大型の作品だったのでやや高価ではあったが、一瞬でこの作品にほれ込んでしまい、即購入を決定しまうほど心を動かされてしまった。これは現在でも家の玄関に大切に飾られている我が家の家宝である。

この作品もそうだが、彼の作品には「羊」はしばしば登場する。羊はいわば彼のトレードマークの1つのになっているが、これ以外にも「Mother and Daughter」、「We are family」、「High on love」、「A good morning kiss」など、四角い体の羊が、「家族」又は「親子」の形で現れる作品が実に多い。その優しいタッチと暖かい色使いで表現する「暖かい家族」像は凄く心を和ませてくれる。ちょっと変わった”四角い羊”のモチーフは、社会の中で変わった存在であったマッケンジー自身を表しているものであると言われている。

その数年後、今度はサンノゼのギャラリーで購入したのが、「In Love」という可愛い作品(下記)。こちらは兄弟2人の可愛い子供(マッケンジーの2人の子供達を描いていると思われる)が大きな赤いハートの上で座っている作品で、強烈なインパクトに思わず一発で惹かれてしまい、衝動買いしてしまった。やはり限定版画だが、「Hope, Love and Joy」よりは小さい作品。

マッケンジーの作品には「赤いハート」も頻繁に登場するが、こちらも羊同様、彼のトレードマークの一つになっている。他にも「All is love」、「Riding with love」、「Sitting on love」(小型彫刻作品)など数多く存在する。作品のタイトルからもわかる通り、赤いハートは「愛」を表しているが、マッケンジーの繊細で暖かい色使いには本当に和まされる。

マッケンジーの絵画集としては、「From the Heart」と先日発売された上述の「A Crossroads」があるが、どちらも彼の作品を余すところなく伝えており、お勧めの画集だ。これからも出来れば少しずつマッケンジーの作品を購入して行きたいし、アメリカ又は日本でぜひ一度マッケンジー本人にお会い出来る日を楽しみにしている。


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