「こんなに大きくなって。それぞれが、気の名にふさわしい個性があっていいわね。」と多美子。
「でも、小学生だった子供たちが、もう30過ぎて、子供もいるんだから、人と同じくらいの
成長速度じゃないかな。私たちもは、花の色も過ぎて、髪はじ録なってしまったし。」と私。
年々、時の経つのが早く感じられるので、ついこの間、苗木を植えたばかりの梅園が出来たと思っていたが、もう20年以上は経っているのです。
「あと何年、この綺麗な花を観れるのでしょうね。」多美子は心細そうにつぶやく。
「大丈夫、天国の花園は、この梅園の比ではないから。」とわたし。
夕刻で曇り空なので、周りに人がいないのをいいことに。子供の天国の賛美歌を私が歌い始めると、多美子も唱和する。あたりが暗くなるまで、ふたりで歌いながら、梅園を散策した。
♪まもなくかなた~の ながれのそばで~ たのしくあいましょう またともだちと ♪
神さまのそばの きれいな きれいな 川で みんなとあつまる日の ああ なつかしや♪
♬ すいしょうよりすきとおる ながれのそばで しゅをさんびしましょう
みつかいたちと~~~~~~
多美子と私は、結婚以来、よくこのようにして、賛美をしました。このようなことだけを書くと
どんなに仲の良い夫婦かと思われるでしょうが、仲たがいした後に、賛美が仲直りをする
きっかけになったことも、相当多くあったんですよ。バレンタインデーのチョコのような二人では
ありませんでした。