神奈川県厚木市飯山・熊野神社の道祖神
神奈川県は双体道祖神の多いところで、とくに丹沢山麓で目にします。飯山の熊野神社は住宅造成のため新しく建立された神社。その片隅の稲荷神社脇に道祖神などの石造物が集められていました。
道祖神の一つ、双体道祖神は「寛政三年(1791)」の造立。風化が進んでいて全体像はよくわかりません。丹沢山麓の道祖神について松村雄介氏の『相模の石仏』(注)によると、相模に道祖神塔がはじめにあらわれるのは寛文年間(1661~1673)で、僧形の双体像。この形は近世前期の特徴で山梨や群馬にもあるが、男女の祝言像などに変化するのに対し、相模では中期になっても続いたのが特徴と指摘しています。熊野神社の道祖神は江戸後期のもので、僧形ではなく男女双体像です。
土地の神である「地神」も神奈川に多い石塔です。
それにしても道祖神の風化が進んでいるのは、丹沢の東山麓で採れる風化に弱い凝灰岩の七沢石によるものと思われます。
(注)松村雄介著『相模の石仏』1981年、木耳社
(地図は国土地理院ホームページより)