偏平足

里山の石神・石仏探訪

石仏924大小山(栃木)刻経塔

2020年08月10日 | 登山

大小山(だいしょうやま) 刻経塔(こくきょうとう)

【データ】 大小山 313メートル▼最寄駅 JR両毛線・富田駅▼登山口 栃木県足利市西場町の阿夫利神社▼石仏 山頂下の東屋、地図の赤丸印。青丸は不動明王▼地図は国土地理院ホームページより


【案内】 山頂直下の岩上の「大小」の文字を置いた大小山、地元の人の話では「この文字は江戸時代から山麓の人たちにより飾られていていた」という。登山口は南山麓の阿夫利神社。神社の案内には「初め石尊宮と称したが、明治維新の際に阿夫利神社と改称した」とある。石尊も阿夫利も神奈川県丹沢の大山の別名である。
 刻経塔は、石に経典名や経文、あるいは真言などを刻んだもの。大小山の刻経塔は大小の文字の岩場の下、東屋がある奥に建てられている。「普門品五萬巻供養塔/文政九年丙戌(1826)四月/願主西場村中」銘がある高さ90センチの角柱塔。普門品(ふもんぼん)は28品からなる妙法蓮華経のなかの25観世音菩薩普門品」の別称。西場村は登山口の集落だ。
 観音経には、観音菩薩がこの世に生きるすべての生き物を救済するために、相手に応じた姿に変えて出現する様子が描かれている。その姿は三十三、観音菩薩の三十三応身である。これが三十三応身図となり、三十三観音に姿をかえて三十三観音札所の成立につながっていった。
 大小山は小さな里山だが、この東屋がある中腹から先は岩場の連続となる。



【独り言1】 やっと梅雨が明けました。新型コロナウイルス蔓延で登山もはばかれるなか、人が行かないであろうということで、真夏にはありえない低山の里山・大小山に出かけました。ところがどうしたことか、登山口の駐車場は満車。少し下に造られた無料駐車場も車でいっぱいでした。大小山は年間をとおして登られている人気のある山なのか、それともコロナウイルスを避けた人たちが押し寄せていたのか、とにかく老若男女でにぎわっていました。


【独り言2】 大小山の最高峰は妙義山です。この山頂に社殿はありませんが、群馬の妙義山を勧請して岩山全体を妙義山と見立てているのでしょう。その群馬の妙義山の奥の院である白雲山には、大きな〝大〟の字の看板が取り付けられています。これがいつごろからあったのかはわかりませんが、妙義山の本地仏・大日如来の大を意味するという説(注1)もあります。それはさておき、大小山の「大小」文字は妙義山からヒントを得たのかもしれません。
 これもいつごろかはわかりませんが、大小山でも修験者が執り行う祭りがあるそうです。そういえば、阿夫利神社手前から登る尾根道には胎内潜りのような岩穴、山頂下には不動明王の石仏があって、修験の山という印象はありました。


(注1)『歴史と信仰の山・妙義山』昭和55年、あさを社




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