里山の石神端書88 上越市柿崎区芋島・楞厳寺の子抱地蔵
楞厳寺は石仏の寺。寺の入口で丸彫りの如意輪観音が迎かえてくれます。その次は地蔵菩薩。
この地蔵、錫杖を持ち子供を抱いています。見るからに元気でわんぱくそうな子供です。この姿の地蔵は子授け・安産・子育てを祈願する子育地蔵、子安地蔵と呼ばれてきました。観音の子育観音、子安観音と同じです。ところで私などは地蔵=男、観音=女というイメージがあり、観音には慈母観音があります。地蔵には賽の河原で鬼に意地悪される子供を救う役目もありますが、どうも子供を育てるイメージがわいてきません。子安地蔵を追いかけている知人の女性はこの地蔵を「子抱地蔵」としています。そこでこのブログのタイトルは「子抱地蔵」としました。
境内に入ると六地蔵が並んでいます。そのなかの一尊は子供を抱いています。六地蔵のなかに子抱地蔵が混じっているのです。『日本の石仏』で大久保修氏は、この形を「善光寺型六地蔵」(注)と紹介しています。大久保氏によると、長野市の善光寺には宝暦9年(1759)造立の子抱地蔵が入った六地蔵があり、長野市だけでも江戸時代後期から明治にかけて30基ちかく造立されていることからの命名です。これが新潟の米山山麓の楞厳寺にもあるということは、善光寺信仰と関係があるのでしょうか。ともかく善光寺型六地蔵のこれからの展開を期待しているところです。
楞厳寺の裏山には西国三十三所観音も造立されています。
9番不空成就
11番准胝観音
29番馬頭観音
(注)大久保修著「善光寺型六地蔵」『日本の石仏』№161、2017年、日本石仏協会
(地図は国土地理院ホームページ)