神奈川県山北町神縄・神尾田神社の笠付角柱型庚申塔
丹沢湖の神尾田地区の神社が湖南岸の小高い山の上に建っています。
その入口に並ぶ石造物の一つが笠付角柱型庚申塔。石塔の上部が削られて角柱に見えますが、脇に笠が置いてあります。「享保十四年(1729)/庚申供養塔」銘と、角柱の正面と左右側面の三面にそれぞれ猿が浮き彫りされています。
笠付角柱型庚申塔は神奈川県でよく見かけ、江戸時代初期のものが多いのが特徴にようです。またこの型は神奈川だけでなく、関東各地にも点在しています。さらに同型で正面に青面金剛・四夜叉・二鶏・三猿などを集めた塔を含めると、数はさらに増えます。
庚申塔の形式分類をした石神裕之氏は「近世庚申塔にみる流行型式の普及」(注)で、五輪塔・宝筐印塔から自然石まで18の型式に分類し、そのなかで笠付型を笠付角柱型・笠付丸柱型・唐破風付角柱型・唐破風付丸柱型に分けています。
もっとも、石神氏の視点は分類ではなく、庚申塔の型式変化を流行と捉え、商品として江戸あるいは一地域から運ばれていったのでは、という試みです。
(注)石神裕之著「近世庚申塔にみる流行型式の普及-江戸周辺における物質文化流行の復原への試み-」歴史地理学会『歴史地理学44』2002年
(地図は国土地理院ホームページより)