里山の石神端書52 静岡県伊豆市原保・丸山神社十王堂の十王(木彫)
神社の案内では、明治2年に神明宮と第六天社を合祀して丸山神社としたそうです。第六天は関東に多く、この伊豆でも祀られていたようです。その説明は長くなるので、このブログの石仏613高松山(神奈川)をご参照ください。そして関東で祀られていた第六天は明治になってほとんど姿を消しました。
丸山神社の下に閻魔堂があります。鍵がかかった格子戸からなかを覗くと、祭壇に閻魔王を中心にした木彫像が並んでいるのが見えます。黒光りしているのが古い像で、白木の像は新しいもののようです。中央の少し大振りの像が閻魔王でしょうか。閻魔を中心に左右に5体ずつ計11体並んでいます。
十王は亡者の生前の行いを、初七日から七七日までの七日ごとと、百ヶ日、一周忌、三周忌に裁断する王たちです。
十王というからには10体のはずですが、閻魔堂に並ぶ十王には必ず奪衣婆も祀られ、合わせて11体ならぶのが普通です。奪衣婆は閻魔王とともに冥途には欠かせない逸材なのです。よく見ると左から2番目の小ぶりの像が奪衣婆のようです。
奪衣婆は三途の川を渡ってきた亡者の衣服を脱ぎ取る老婆。その衣服は懸衣翁に渡され、衣領樹に掛けて生前の罪が計られます。枝がたわむほど罪が重いとされています。
(地図は国土地理院ホームページより)