小海町小海・川平路傍の寒の坊
小寒から節分までの寒い冬の30日間行う寒念仏、その講の人たちが造立した〝寒の坊〟と呼ばれている石仏は小海町周辺にだけある珍しいもので、このブログの「小海・宿渡のお子安さま」「小海・笠原の寒の坊」で案内しました。この2基の寒の坊の持物は鉦と槌でしたが、川平の寒の坊は風鈴のような鐸と数珠を持つ姿です。
寒の坊を調査した岡本知彦氏によると、観音風の丸彫りの像容が寒の坊特徴ですが、6臂の持物は念仏に必要な鉦と槌もあれば、鐸を持つのもあります。他に弓・矢・斧など多少の違いがあります。
川平は親沢川沿いにある小さな集落。橋のたもとに並ぶ石仏のなかに寒の坊が祀られています。頭部は別の石造物で補われ、また風化が進んでいるために寒の坊には見えませんが、合掌する手と鐸と数珠持つ手が確認できます。
この場所は石造物が集められたようなところで、他に馬頭観音、庚申塔、経典供養塔、それから筆塚もあります。長野は筆塚の多いところです。
(注)岡本知彦著「寒の坊―民衆の手になる観音風寒念仏塔」『日本の石仏』№95、2000年、日本石仏協会
(地図は国土地理院ホームページより)