さて、ゲシュトップキー(単にストップキー)の恩恵の話の続編です。
「ゲシュトップキーを押すと、B♭管が(半音低い)A管に替わる。」
つまり、これは、ゲシュトップ奏法のために便利なキーといえます。。。。
(右手でベルを塞ぐので、半音高くなる奏法だから、キーを押すことで半音ぶん管をながく通して、半音下げて帳消しとしてしますから、譜面のままの指使いで、行けちゃうのです。)
…と、前編で紹介しました……。
ちょっと補足すると、右手で塞ぐことで、管の長さ(振動する波長)が実質、短くなったというわけで、ピッチがおおよそ半音高くなるのです。
ここで、しばし考えました。
この仕組み、他にも使えそうですだからです。
メンデルスゾーンの交響曲第4番イ長調『イタリア』…これをさらっていて、あたりまえのことに気づきました。
イ長調…というは、指折り数えると…
ハ、二、ホ、ヘ、ト、イ…
つまりC(ド)、D(レ)、E(ミ)、F(ファ)、G(ソ)、A(ラ)…
そうなのです。。「アー、A(ラ)」です。
イタリアは、「イ長調 = in A」
だから、Aが主音の曲です。
案の定、イタリアの1番ホルンの譜面は、一、二楽章が、in A。
三、四楽章は in Eで書かれています。
まぁ、なので、いつもなら、移調読みをするわけです。。が。。
でも、ちょっと待ってくださいよー
…B♭シングルホルンの…
ゲシュトップキーを押したままにして、
右手は普通の位置。
つまりゲシュトップ奏法ではなく、普通に使うと、このホルンはA管ホルンになるということですよねー
イタリアみたいに、イ長調の曲なら、
in A管の開放で吹けてしまうわけです。
なぜなら、ナチュラルホルンでは、その管の長さに見合った自然倍音。
すなわち、
下から上に向かって…ド、ソ、ド、ミ、ソ、(低めの)シ♭、ド、レ、ミ、(高めの)ファ♯、ソ…の倍音です。
自然倍音ですから、きれいにハモります。
平均律とは違うのです。
くどいようですが、B♭シングルホルンをゲシュトップキーを押すことで、管の全長さがAナチュラルと同じになるというわけです。
解放管ででますから、
左指(人差し指、中指、薬指)はお休みというわけです。
本来の調性で音が取れますから、利点はあります。
でも、これは、ゲシュトップキーを使わないでも、普通のB♭管なら、2番ロータリー(中指)を押したままにして、半音ぶんほど管を長くしたのと同じことですから、そんなに驚くことではありません。
むしろ、私が「ゲシュトップキーの恩恵」と喜んだのは、むしろ、三、四楽章のin Eの方なのです。
続く
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