*
「――以上が、現時点で掴めているグリゴラシュ・ドラゴスの動向です」 応接用のテーブルの向かいに腰を下ろした神田忠泰が、そう説明を締め括る。
在東京ローマ法王庁大使館内で彼専用に与えられた、ローマ教皇庁渉外局在東京ローマ法王庁大使館支部の執務室だ――レーザー盗聴や盗撮防止のために、窓は無い。部屋の主がいないときの立ち入りはたとえ特命全権大使であっても禁止されており、清掃員も彼のい . . . 本文を読む
†
「――遅くなってしまって申し訳ありません」
神田忠泰の謝罪の言葉に、かたわらを歩いていた金髪の吸血鬼が適当に肩をすくめた。
「だから別にいいって。それより、警察に情報がうまく流れてないんじゃないか」 というのは、アルカードが警察に職務質問を受けたことを言っているのだろう――本来、アルカードはいかなる職務質問も受けない。彼が法王庁大使館の要請で行動する際には、近隣の警察に特徴を伝 . . . 本文を読む