以前の記事で記述した通り、キメラにはカスタム・メイドの通常のタイプと量産型の二種類が存在します。
カスタム・メイドのキメラは通常繁殖能力を持っており、量産型キメラは繁殖能力を持っていません。
量産型キメラは通常施設警備や防衛体制の整備など、基本的には守備防衛のために使われることが多いです。
作中に登場する量産型キメラはアルマゲスト本拠地の鎧やラッサーレの城の鎧などです。……あれ? なんで全 . . . 本文を読む
これでとりあえず、Nosferatu Bloodシリーズでうp済みの小説すべての移動が終わりました。あと気づいたところの修正も。
でも結構抜けと誤字が多かったから、疲れました。正直これを読む羽目になった新規の読者さんは困っただろうなと思える様な部分もあり、携帯サイトで読んでくれてた方々には申し訳ないの一言です。
まだほかにもいろいろ残ってるんですよね、OgreとかThe False Ju . . . 本文を読む
そんな会話を交わしている間に洗い物が終わったのか、シスター天池が戻ってきた。
「それじゃ、行きましょうか」
「はい」 結衣がうなずいて、どんべえを抱き上げる。アルカードは扉を開けてノブを抑え、ふたりのために道を開けた。
結衣が足早に階段を降りて、飲み水と干し草がたっぷりと用意されたケージの中にどんべえを入れる。
「これで何日くらい持つの?」
「普段通りなら、明日の昼くらいまでです」 アルカード . . . 本文を読む
今のところ、相手の表情や視線の動きにおかしな違和感は無い。ただし特定の条件――時間、特定のキーワード、特定の場所への到達など――を満たさないと術が起動しないタイプの術式を仕込まれている場合、スリープ状態の術式は被術者に影響を与えないものも多い。そういった場合、ちょっと見ただけで術をかけられていないとは断定出来ない。
当面この場でふたりになにかするわけにもいかないので、アルカードはそれ以上の情報 . . . 本文を読む
「あ、はい。子供のころに行ったことがあります――ブカレストと、キンディア塔のあるところとか、ほかにも何ヶ所か見て回りました」
「キンディア塔? ――ああ、トゥルゴヴィシュテに行ったのか」 声にわずかな皮肉を込めて、アルカードはそう返事をした。
キンディア塔は一四〇〇年代後半、ちょうどワラキア公ヴラド・ドラキュラの時代に建設された塔だ――トゥルゴヴィシュテは一三九六年に宮殿が建設されて以降、ワラキ . . . 本文を読む
その後ろに続いて、大聖堂のほうに歩いていく。大聖堂といってもほかの聖堂より大きいくらいの意味合いらしく、一般に大聖堂と呼ばれる様な――たとえばノートルダム大聖堂の様な規模の大きな代物というわけでもない。
だがさすがに在校生徒数が多いからだろう、聖堂自体もそれなりに大きなものだった――収容人数だけでいえば、東京カテドラルなどの名だたる大聖堂に匹敵するかもしれない。
左手側の階段を昇って細かな装 . . . 本文を読む
†
扉のほうに近づく数秒の間にも、伝わってくる振動はどんどん強くなってきていた。『門』の向こう側にいる誰かさんの影響が、とうとうこちら側に及び始めたらしい。
それをさして気にも留めずに扉のそばまで近づくと、扉はもともとそういう仕組みなのかひとりでに開き、向こう側の光景をその場に居合わせた者たちの前に開帳した。
扉の向こうは魔術装置の設置されていた部屋よりもさらに広い空間で、こち . . . 本文を読む
「先行する。底の空気の組成を確認して、必要なら作り変えておくから、少し時間をおいて降りてこい――セアラを頼む」
そう言って、グリーンウッドは重力制御を解除した――そのまま自由落下に近い速度で穴の奥底に落下していく。
生身の人間であるセアラを任せられる相手がいれば、彼ひとりでならどんな危険な状況に身を投じても問題無い――――取り込んだ鬼神や魔神の能力を使って物質構造に干渉し作り変えることの出来る . . . 本文を読む
次の瞬間には、アルカードは落下するセアラのすぐそばで人間態に戻っていた――左手を伸ばしてセアラの腕を掴んで引き寄せながら、同時に指輪の形状に偽装した仮想制御装置《エミュレーティングデバイス》に魔力を流し込む。
構築された術式に魔力を吸い上げられるときの首筋をくすぐられる様な掻痒感とともに、構築された術式が発動し――落下制御《フォーリング・コントロール》の魔術に囚われて、ふたりの落下速度がさらに . . . 本文を読む
†
見る間に腐蝕しながら、アルカードが放棄した甲冑の手甲が縦穴の底に落ちてゆく。
吸血鬼の反撃で警戒を強めてか、下級悪魔どもは壁にへばりついたままじりじりと距離を詰めてきている――当のアルカードはというと、悪魔の体液がついても腐蝕する様子の無い黒い曲刀を手に、油断無く悪魔の動きを観察している。表情から察するに、魔具以外を用いる攻撃手段はなるべく選択肢からはずすことを決めた様だった . . . 本文を読む
「どうして、わざわざあんな地下深くに降臨場を用意するんだろう?」
「地下深くのほうが都合がいいんですよ」
誰に向けたわけでもないひとりごとだったのだが、セアラが答えてきた。
「どうしてだ?」
「地脈がどういうものかは?」
セアラに反問されて、アルカードはちょっと考えた。
「あまり詳しいことは知らないな」
「そうですか」 セアラがうなずいて、
「知ってることもあるかもしれませんけど、一応ちゃんと . . . 本文を読む
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舗装されていない獣道を歩いていると、まるで自分が五百年前のあの時に戻ったかの様な錯覚に囚われる。
無意識のうちに余計な力が抜け、敵を探して油断無く周囲に視線を走らせながら、空いた手で帯びた長剣の柄を探し――そして剣を帯びてなどいないこと、周囲の植生が記憶にあるものとまったく違うものであることに、唐突に気づいて我に返るのだ。
やがて木々の隙間が明るくなり、その向こうに開けた空 . . . 本文を読む
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「で、ちんちくりん――このあとどこに行くんだ?」
アルカードのちんちくりん呼ばわりにはもはや突っ込む気にもなれず、セアラは深々と溜め息をついた。この部屋に入ってくるときに通った扉と正対する位置の壁際に設置された巨大な石柱を指差して、
「あの向こう側です」 そう答えてから、歩き出す――グリーンウッドがすぐにかたわらに並び、壁に突き刺さったままになっていた漆黒の曲刀を引き抜いたアル . . . 本文を読む
さらにもう一歩踏み込みながら横薙ぎの一撃を繰り出す動きで上体をひねり込み、アルカードが左手に残していた鈎爪状の刃物をキメラの腹部に突き立てる――次の瞬間いったいなにをされたのか、キメラが目や口、鼻、耳の穴から血を噴き出しながら身体をのけぞらせた。それでもまだ攻撃する意思があるのか、半ばから斜めに切断された高周波ブレードの尖った先端をアルカードに突き立てようと――
するより早く、アルカードが突き . . . 本文を読む
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ひゅっ――斬撃の重さからすれば、あまりにも軽い風斬り音が鼓膜を震わせる。セアラからすればほとんど瞬間移動にも等しい速さで接近した吸血鬼が、手にし漆黒の曲刀をキメラが振り翳した高周波ブレードに叩きつけた。
ほんの一瞬だけ高周波ブレードの振動周波数が下がり、周囲に耳を劈く様な高音が響く――次の瞬間には高周波ブレードが半ばから切断され、切断面から血が噴き出した。続く一撃で胴を薙がれ . . . 本文を読む