「ああ、あのええ躰した妹のほうはおらへんかったわ。前の若頭《カシラ》をやったっちゅう、例の金髪のガキもおらんかったな――姉貴のほうは突き飛ばしたら頭打って気絶してもうてな、連れて帰ってしばらく輪姦しよう《まわそう》かって思っとったんやけど、若頭《アニキ》がジジイを袋叩きにし始めたもんやから、そっちに参加してて女を連れ帰る時間が無かった」 ポリタンクも運ばんといかんかったし、袋叩き《それ》が済んだら . . . 本文を読む
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駐車スペースに降りると、アルカードは記憶にある駐車番号を頼りに自分たちの乗ってきた車のところに戻った。
「ねえ、今更なんだけど、わんちゃんってレンタカーに乗せていいの?」 かたわらでジャケットの袖を握った凛が、歩きながらそんな疑問を口にする。
「ん? 大丈夫」 見上げてくる凛を見下ろして、アルカードはそう返事をした。
アルカードが用意した車は十五人乗りのコミューターで、営利が . . . 本文を読む
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「――ふう」 食後のコーヒーを飲み乾して、アルカードが息を吐く。空腹だと言ったのは子供たちなのに、御多分に漏れず食べる量はアルカードが一番多かった。
アルカードは腕時計を確認して、
「あと一時間くらいですか」
「そうね」 アルカードの言葉に、イレアナがそう返事を返す。
「じゃあお姉ちゃん、ゲームコーナーに行こうよ」 という蘭の言葉に、リディアは小さくうなずいた。
「そうだね、行 . . . 本文を読む