一陽来復~近藤聡彦のファゴットブログ~

ニューヨーク帰りのファゴット奏者が綴る下関音楽日記

ファゴットは常にベルアップ

2013年11月20日 | ファゴット
ファゴット先端部のベルは、キーも一つしか付いてないし、
「最低音を出すためのパーツ」とか「ただの筒」と思いがちです。

バロック期の楽器は、今のベルの分ほど楽器が短くて、最低音もドの音だったそうです。
(その方が楽器が軽くていいんだけど
バロック~古典派頃の曲には、現在普通に出せる最低音のシ♭や、ド♯辺りを避けて書かれているものも多いですが、演奏する上で最低音はシ♭の方が何かと便利なので、徐々に改良されたようです。

ベルの内側のテーパーは、楽器全体の響きや抵抗に大きく影響するんですが、意外と個体差が大きくて、同時期に同メーカーで作られた楽器でも、なぜこんなに違うの?ってくらい違う事があります。
これがまたいろんな意見があって、「同じ径のドリルなんだけど、ワッと雑に掘ってるだけ。」とか「いや、一本一本の楽器の特性に合わせて削られているに違いない。」等と聞きますが、ほんとはどうなんでしょうね?ヘッケルの技術者に聞いてみたいところです

ニューヨークにいた頃、抵抗が大きくて鳴らし辛い楽器を使ってた時期があって、どうしたらより鳴らしやすくなるのか試行錯誤していたら、知り合いが「ニュージャージーにベルの中を削るのが上手い調整師さんがいる。」と言うので紹介してもらって、ベルだけ送って削ってもらった事があります。
その間1週間位ベル無しで吹いてたら、恩師レナード・ヒンデル先生が「ベル無しでさらってるの?ベル貸してあげるよ。」と、奥のクローゼットをゴソゴソして、ベルを一つ取り出してきました()。
「何でベルだけ余分があるんですか?(笑)」「いや~昔ベルを変えたら音が良くなるって話で、友達と二人でヘッケルにベルだけ注文したんだよね。自分の楽器はあまり変わらなかったけど、友達の楽器はとても良くなったらしい
この話も、その友達の楽器はベルのテーパーが大きく変わったという事なんでしょう。
ともあれしばらく借り物のベルで練習(笑)。先生の楽器とは製造年代等が違うので、ジャストフィットはしませんが、何も無いより全然ましです。
1週間後、自分のベルがニュージャージーから帰ってきました。中をのぞくと確かにいろいろ削った跡が。
早速付けて吹いてみると抵抗感がかなり減って、楽器全体の音色もよりオープンな感じになりました
径が一般的なサイズよりだいぶ狭まっていたそうです。いろいろ影響するもんですね。

僕の楽器は少し古い楽器なので、象牙のリングが付いています。
写真じゃ分かり辛いけど、年輪のような筋が入っています。

学校の楽器を使っている学生さんの楽器は、ベルの内側にホコリが溜まっている物をよく見かけます。
ケースに掃除棒が入っていたら、中を掃除してホコリを取ると、より響くようになる事がありますよ

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