じじい、無駄な抵抗はよせ!

無駄な抵抗はよせ! 
だが、一度きりの人生じゃ
映画のタイトルに触発されて、じじいの抵抗はいかに??

旅の選択肢(その1)

2019-11-23 09:10:33 | 行きたい旅先
旅の選択肢(その1)

どんなに長生きの人だって、この地球上の全ての場所を訪ねられ
るハズがない。当然のことだけど、どんなに頑張っても、ほんの
一部しか見ることは出来ない。

老人ともなれば、それはなおさらのことで、足腰が弱れば行ける
所も限定されてくる。高い場所には登れないし、遠いところへも
歩けなくなる。

今でも日本から欧州へ行くには12時間以上かかる。
エコノミークラスでは、せいぜい半日の搭乗が限界だろうか。
自分の初訪欧はアンカレッジ経由で、今では貴重な経験になった。
羽田からアンカレッジで給油(休憩)、さらに5時間ほどパリま
で必要だったと記憶している。1987年のことだ。

予算、時間に限りがあるわけだから、ツアーのように分刻みの旅
程は遠慮したい。確かに、せっかく来たのだから、という気持ち
も分からないではないが、訪問地を少なくして、一つの地域をゆ
っくり楽しみたいものだ。滞在期間10日未満では、一つの町の
全てを訪ねることさえ無理なのだから。

最初のパリまでの旅が今でも一番印象に残っている。
あの時もパリは厳戒態勢であった。貧乏旅行の定番は、観光客が
遠慮する冬のパリだ。旅費は格段に安くなる。
深夜便で降下する機体から、どんよりしたオレンジ色に鈍く光る
パリの明かりが見えた。「翼よ、あれが・・・」てがっ。

始発の電車で中心地へ向かう。誰も居ない地下鉄を乗り継ぎ、ジ
ョルジュサンクで下車、地上へ上がった。まだ覚めやらないパリ
のシャンゼリゼ通りは街灯と電飾は残っていた。振り返ると少し
小高い場所にライトアップされた凱旋門が待っていた。

今日と同様に爆発事件があったばかりで、町の中を歩くと各所で
手荷物を検査された。モンパルナスでお茶を飲んでいると、どど
っと機関銃を構えた警官数名が店に入ってきた。何も起きなかっ
たけれど、民俗のるつぼパリは、今も昔も変わらないようだ。

10日間の滞在でパリ中を歩き回った。貧乏旅行なのでタクシー
には乗らないと決めていた。絵が好きだったので、有名な美術館
を10以上も見て回った。当時は観光客も少なく、有名絵画もじ
っくり見ることが出来た。360度に飾られたモネの睡蓮。

フォンテーヌブローの駅からナポレオンが幽閉された城まで整然
と植えられた樹木の長い陰をたどった。高緯度のせいでパリの朝
は遅いのだ。今は焼けてしまったノートルダム寺院のスケッチな
ども何枚か残っている。シャルトルの様式が違う尖塔にも上がっ
た。 つづく


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