グッズ売り場の娘さんも白装束でした。
「うらめしや~、冥途のみやげ」展 東京上野芸大美術館
大好きな美人画の画家上村松園の幽霊画が観られるとあって東京上野の芸大美術館へ行ってきました。会期は7月22日から9月13日迄と長かったのですが、肝心の松園の作品は9月1日から13日迄ということで先日漸く観てきました。松園のファンとしては迂闊にも松園に幽霊画のあることを知らなかったので今回は望外の喜びでした。その上、描かれている六条御息所の恨みと深い悲しみも素直に感じられて、松園が「たった一枚の凄惨な絵」と評したのもむべなるかなと思いました。それにしても女性の美を幽霊にまで描ける松園は本当に素晴らしい画家です。
私の子供の頃は幽霊には足が無いと信じきっていたのですが、恋しい人に会うために夜な夜な牡丹の燈籠を提げて幽霊のお露がやはり幽霊のお米を従えて「カラーンコロン」「カラーンコロン」と駒下駄の音を鳴らしながら新三郎に会いに行くというその「幽霊の足音」の怖さに子供心に背筋が凍る思いをしながらラジオに聴き入っていたのを覚えています。四谷怪談のように劇作家がヴィジュアルな恐ろしさで観衆をひきつけていた時に「怪談牡丹燈籠」などで言葉で大衆に怖さを与えることが出来たのはやはり円朝が類まれな噺家だったからこそだと思います。
ちなみに、幽霊には足が無いと思われるようになったのは円山応挙の幽霊画に起因しているそうです。
今回の展覧会で会えた「美しい幽霊」たちをご紹介します。
三遊亭園朝作「怪談牡丹燈籠」
のお露と言われています。
「蚊帳の前の幽霊」 鰭崎英朋
「瞋恚の焔は身を焦がす」六条御息所
の嫉妬と悲しみ
「焔」 上村松園
「番町皿屋敷」 吉川観方
腰元お菊の幽霊
「幽霊図」 伝円山応挙
円山応挙の幽霊画を踏襲した幽女
「朧駕籠」 鏑木清方
少女のあどけなさを残した白
無垢姿の幽霊
「墨染」 池田輝方
恋人を殺された女性の恨みをリア
ルに表現した幽霊
「幽霊図」 伊藤晴雨
薄闇のなかに浮かび上がった
町娘の霊
「伊香保の沼」 松岡映丘
武田信玄に攻められ入水し龍に変じた木部姫
写真は全て芸大及び東京新聞編集のカタログから転載させて戴きました。