前回は、行動経済学で定義されている法則の2つを谷宜樹が解説しました。
損をしたくないという心理「プロスペクト理論」、イメージを固定化させる効果「アンカリング効果」の2つは、非合理的な行動を導くものとしてWEBデザインに応用されています。
今回は、この他にも谷宜樹がWEBデザインによく活用する法則を解説します。
■「エンダウド・プログレス効果」とは?
人は、ゴールまで順調に進んでいると感じると、モチベーションがアップします。
これを「エンダウド・プログレス効果」といい、より達成感を持たせる表現がモチベーションの向上に良い影響を与えると分かっています。
この効果を理論づけるものとして、2つのポイントカードを使った実験が有名です。
1枚は10ポイント貯めるポイントカードであり、すでに2ポイント獲得しています。
もう1枚は8ポイント貯めるカードで、まだ0ポイントです。
どちらもゴールまではあと8ポイントですが、人が感じる達成感には違いがあります。
すでに2ポイントが貯まっているカードをもらった人は、まだ0ポイントのカードをもらった人よりも、10ポイントに到達した時の達成感が大きかったと感じました。
この実験では、ポイントが全部貯まるまでにかかった時間や労力が同じだったとしても、ゴールした時の達成感には違いがあるというのが分かります。
これは「ゴールまであといくつ貯めれば良いか」というのが視覚化されたことが理由です。
今から1つずつ貯める必要があるというイメージよりも、あと○ポイント貯めれば良いというイメージの方が、やる気をアップさせることができるのです。
WEBサイトにおいても、ゴールまでの道筋を示したものは選ばれやすいでしょう。
■「現在志向バイアス」とは?
将来に得られるであろう利益よりも、今すぐ得られる利益の方が価値が高いと感じるのが「現在志向バイアス」です。
例えば、1ヶ月利用して100ポイントもらえるスポーツジムと、入会したその日に100ポイントもらえるスポーツジムでは、どちらが魅力的ですか?
利益が出るのが1ヶ月先のものよりも、今すぐ利益を得られるものの方がお得であると思いますよね。
この法則をWEBサイトで使うなら、「1回で効果実感!」「当日から使えます」などの文章が効果的です。
デザインや文章から感じ取れるイメージは、ある程度多くの人に共通するものがあります。
行動経済学の法則を応用すれば、ユーザーに狙った行動をさせることができるかもしれません。
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