ケアトリハ

介護とリハビリの仕事をしている方、目指している方、介護やリハビリってどんな世界なの、という方に読んでいただきたいです。

爪楊枝で分かる簡単な感覚テスト^-^

2020年03月20日 | リハビリ・医療
爪楊枝を2本ご用意ください。
その爪楊枝をピタッと2本並べてずれないように保持してください。
その2本の爪楊枝のとがった部分である先端を、ご自分の人差し指の指先部分(指紋のある部分=指腹)に軽く押し当ててみてください。

「2本触れている」ということが、(かろうじて)分かると思います。
お歳を重ねていくと、また糖尿病などを長く患っていらっしゃる人ですと、分かりにくいかも知れません。

「2本触れている」というのが分かった人は、次に同じ様にその2本の先端を、肘から手首の間(この部分を「前腕」といいます)にそっと押し当ててみてください。



ここでは、「2本触れている」ということが分からないはずです。 もちろん、自分自身で2本の先端で触れる、ということを理解していますので「分かった気」になってしまいます(^-^;
もし今、そばにどなたかいらっしゃるのでしたら、「感覚のテストだよ」とお伝えして、指先(指腹)と前腕の2ヶ所で試してみてください。

これは、リハビリの検査にもある「2点識別検査」と言います(ちなみに爪楊枝ではやりません)。
人の体には、触れた物が何であるか、いくつあるか、どんな圧か、どんな硬さか、どんな温度か、などを感知するセンサー(受容器)があります。
この受容器は、全身に張り巡らされています。 体に異常がないか、危険な状態に陥っていないか、など、全身の情報を脳に送っています。

この受容器は、体の部位によって密度が違います。
「指先」「唇」といった、物をつかみ、口に持っていき、食べる、という赤ちゃんにも必要な、「生きるための行為」を行う部位には非常に密集して存在します。 したがって2点識別検査の正常値として、指先は3~4mm、口唇は6~7mmと報告されています。 爪楊枝を2本並べた状態での先端の距離は約3mmですので、正常な状態であれば指先でかろうじて知覚できます(できなくても「異常=問題!」ではありませんのでご心配なく (^-^; )。

それとは逆に、前腕部、背中など、生きるために優先して必要な行為をする場所ではない部分には、受容器は密集していません。 必要がないからです。
前腕では37~39mm、背中にいたっては40mmといわれています。 したがって、この様な部位で爪楊枝2本分の識別は困難となります。
背中にいたっては、指を2本並べても分かりません(^-^;

指先の感覚受容器のセンサー機能や、その感覚を脳に伝える末梢神経の機能は、お歳とともにどうしても低下していきます。 これもいわゆる「正常な変化」です^-^
ただし、「糖尿病」や、頸椎の病気やケガなどの「頸椎症」など、手や指などに伸びる感覚神経に影響を与える様な病気がありますと、お若い人でも感覚が鈍くなることがあります。

・本をめくる時、指先に当たる紙の感覚が分かりにくくなった
・物をつかんている時、昔よりも触れてる感じが鈍い気がする
・手で物をつかんでいるのに、不意に落とすことが増えてきた

こんなことを、最近感じることがおありでしたら、一度爪楊枝で簡単に検査してみてください^-^ (あくまでも簡易検査です)
糖尿病や頸椎症などの病気がもともとない、という人でしたら、いわゆる加齢にともなう機能低下かも知れませんですね。
その場合は、逆にこの様な「指先」で物の形状などの感覚を見分ける「ゲーム」的なことを繰り返してみてもよいと思います。
例えば、2~3本の鍵を用意して、目を閉じて、その鍵の鍵山を指で触れてみます。 その鍵がどこの扉の鍵なのかが分かる様になる、といった簡単なトレーニングも有効かも知れませんですね^-^
「点字を覚える」というのも、頭の体操にもなりそうですし、今後は視覚障害を持つ人へのサポートにも役立つかもしれませんね。

寝込んでおりました…(^-^;

2020年03月20日 | 健康管理
数日ぶりにブログを書きました。
今週明けから体調を崩して、しばらく動けない状態でした(^-^;
ちなみに、最近話題の感染症ではありませんです。

単なる胃腸風邪でしたが、胃や腸の痛みで食事も進まず、トイレの出入りを繰り返し、本当にしんどかったです。



医療に携わる立場の者が体調を崩す…というのは、恥ずかしいことではありますが、時々こんな状態におちいります。 反省です。

時々やってくる「アピールタイム」に、コメントする程度でした…。

そろそろ元気になってきましたので、イラストも描いてブログもアップしていきたいです。

フォローしてくださっている皆さんにも、また楽しんでいただけるようにがんばります^0^

高齢者施設での日常①チクリと来た一言

2020年03月16日 | 高齢者施設
いつもブログを拝見してくださる皆さん、ありがとうございます。

今朝は、少し古いイラストになりますが、2003年に私が介護士だった頃に描いたマンガです。

施設に入所しているパーキンソン病の高齢女性の利用者さんとの、チクリと来る会話を紹介しています^-^





自律神経のお話「胃腸の場合」

2020年03月14日 | 医療
2020年3月4日のブログ「心臓」に続きまして、自律神経のお話です。 今回は「胃腸」のお話です。

自律神経とは、「交感神経」と「副交感神経」という2つの神経の総称です。 この2つの神経は、主に体内の臓器の活動を活発にしたり(促進)、休ませたり(抑制)する神経です。
この2つの神経は、いずれか一方が働いている時、もう一方は休憩するというように、拮抗した働きを持っています。 自律神経の働きは自分の意思ではコントロールできません。 周囲の環境や、精神的・身体的な変化によって、自動的に働いている神経です。

心臓の場合、「戦う」とか「逃げる」といった「命に関わる状況」におかれると、交感神経が自動的に活性化され、心拍数が増えたり、心臓の拍出量が増えたりして、筋肉をたくさん使って逃げ出せるように、戦えるような状態にしたり、手足の血管を収縮することで末梢にある血液をできるだけ心臓などの中心に集めようとする反応が起きます。

では、「胃腸」はどのような反応を示すのでしょうか?

胃腸の主な働きは、食べたものを消化したり、消化した栄養素を吸収したりといった、栄養摂取に関わることです。 ですから、胃腸などの働きを活発にするために、筋肉でできている胃腸の運動を促進するためたくさんの血液を胃腸に送り届ける必要があります。

ただし、先の「心臓」の場合のように、「生きるか死ぬか」の場面では、戦ったり逃げたりするために手足の筋肉に優先的に血液を送る必要があります。 したがって、生きるか死ぬかの場面に遭遇した場合、「胃腸の消化と吸収」は二の次になります。 

交感神経が活性化している時、「心臓は活動が活発」になりますが、「胃腸は活動が抑制」されます。 この自動的な切り替えは、本当によくできていると思います。

胃腸の働きは、交感神経が活性化されている「生きるか死ぬか」のような場面では抑制されますので、血流はある程度抑えられ、抑えられた分の血液を手足の筋肉に送り、ひとまず生き延びるために酸素をたくさん使えるようにします。

そして、無事に生き延びてほっと一息つけたのち、交感神経から副交感神経にスイッチが切り替わり、心臓は穏やかになりリラックスした状態になります。 その後、胃腸に血液がたくさん送り込まれて、消化と吸収が活発になります。 胃腸の動きは、副交感神経が活性化している時に活発になります。



皆さんも身の覚えがあると思いますが、朝、学校に遅刻しそうなため、朝ご飯を急いで食べ、慌てて走りながら学校に向かうとお腹が痛くなることはありませんでしたか? これは、胃腸に食べ物が流れこんできたため、副交感神経が活性化されて胃腸の動きを促そうとして胃腸に血液を集めていた矢先、体が走り出しましたので、急に交感神経が活性化されることとなり手足の筋に血液が集まり始めます。
こうなると、消化が必要な食べ物が胃腸にあるにも関わらず、消化や吸収、食べ物の移動のための胃腸の動きが減少してしまうため、胃腸に負担がかかって機能低下が起こる→痛みが起こる、ということになります。

自律神経は、周囲の環境や精神的・身体的な変化によって自動的に働いています。 動くときは動き、食べて休む時は食べて休む、といった、ゆったりとした生活リズムが、自律神経の本来の働きにもよいのでしょうね。 食べながらせっせと動くとか、働き過ぎて頭も体も休む暇がない…というのは、やっぱり心身に負担がかかっている、という証拠なのですね。

ゆったりと、生活していきたいものですね^-^

心不全を予防しましょう

2020年03月14日 | リハビリ・医療
心臓の病気が進行すると「心不全」という、全身に血液を送る心臓ポンプの機能が低下して、症状が出現することがあります。

心臓のポンプ機能が破綻してしまうと、全身の血液をスムーズに送れなくなります。 全身に送れなくなると血液の循環は遅くなり、全身の血管内で滞ってしまいます。 血管には小さな穴が開いています。 その小さな穴から栄養や酸素・二酸化炭素、水などが周囲の細胞に出入りします。 ところが、血管の中で血液が滞ると血液の水成分が血管の外にしみ出てしまいます。 心臓のポンプ機能が低下することで、「浮腫」が起こります。

心不全が原因で起こる浮腫は、手足や顔などでみられることが多いですが、肺の中でも起こります。 肺の中で浮腫が起こると、酸素と二酸化炭素の入れ替えである「換気」ができなくなります。 これが、心不全によって起こる「呼吸困難」となります。



心不全は、心筋梗塞や心臓の弁の病気、不整脈など、もともとの心臓の病気が長い間、心臓に負担をかけ、その結果心臓のポンプ機能が低下してしまい起こる病態です。

お年を重ねていくごとに、心不全患者は増加しています。 2020年には120万人にも達するといわれています。
心不全も、心臓を大事にいたわっていくことで予防につなげていけます。 理学療法士の私が、心不全の予防としてお伝えできるは、「生活習慣」と「有酸素運動」による予防方法です。

このブログで、これから少しずつお伝えしていきますね。