やさしさ

思っている。
君は、今、本当に、そう思っている。
迷いもなく、まっすぐな、言葉。

その誠実は、今、この瞬間の私を幸福にしている。
それだけで、充分なのです。

明日は、明日の風が吹くよ。
あさっては、あさってな言葉が浮かぶ。
来年の話は、鬼が笑うよ。
5年後の約束は、私から断るの。

思っている。

Ｄｅａｒ

誰も皆、愛されたくて生きている。
それは、おおかた、正しい。
愛されたくて、ささやかな努力をする。
満たされなければ、切なくて苦しくてやるせない。
生きていけない気分になる。

ねえ、ママ。
そうでしょ、パパ。
見てて、先生。
大丈夫、友達だもの。
教えて、先輩。
そばにいて、ダーリン。
聞いて、ハニー。
助けて、神様。


いかないで。


たとえ、愛されなくてもね。
愛してもいい人がいないのは、よりどころがないね。
愛される安心感より、
愛している生命力に光が射す。
前が見える。道が出来る。
無条件で愛していい人をもてることが、
生きる源になる。






　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　

親の知恵

親は、知っていることを子供に伝える。

子供が、妙なことをしたら、それは、親がまだ伝えてない事柄なのだ。
子供が、間違ったことをしたら、それは、親が間違って伝えたのだろう。
子供が、聞き間違ったなら、それは、親が伝えることが苦手なのだろう。

親が苦手なことを、子供は、外で学んでくる。
親が苦手なことだから、子供が学んで帰ってくると、親は不愉快になる。
子供が外で学んでくるkとのほとんどは、親のコンプレックスを刺激する。

そこで、イラつくくらいなら、子供に弟子入りしなさい。
外で学んで成長してゆく子供達を、敬いなさい。
だって、あなたも、そうしてきたでしょ。

親を敬い、親に学び。
その後は、外で学び、
けれど、それを親になじられ不愉快な思いを抱いた。
あなたも、そうだったでしょ。

親は、子供が自分を超える恐怖にいつもおびえているものなのです。

つばさ

つるんつるんのピカピカの頃を、
海のものとも山のものともせずに、
ただ温めていた。

産声に心を寄せて、産毛をなでた。

この手の中で夢を見て、
この指を頼りに道を描き、
この腕の中で育み、

共に生きた時間は過去になる。

初めて羽ばたく今、飛び立つその瞬間だけ、
私の名を唱える。

大空に飛び立ったら、もう、私を忘れるだろう。
それが、君の成功であり、私の成功なのだ。
この胸の中で飛び続けないでいいよ。

ミスター・チルドレン

街中の誰も彼もを、君に見間違える。
それは、あり得ない事なのだけど。

君に少し似た人が、幸せそうに笑っていた。
電話の向こうの相手が誰であったとしても、
私ではない事が確か。
私がいなくても幸せにやれている君が、
地上のどこかにいるのだと思えた。

笑っているのなら、そこに立ち入る権利はない。
万が一、うつむいて私の名を呼んだなら、
その時は確実に君の味方でいるよ、
大丈夫、100年前に星に誓ってある。



私が地上からいなくなるときが来ても、
それは永遠に知らなくてもいいよ。
君は笑ったままでいたなら、
ずっとずっとそのまたずっと先で、
きっとまた会えるからね。

その時に、愉快だった事も乗り越えた事も聞かせてよ。
大丈夫、君の願いがかなうように星に頼んである。