映画「禅」

今週の水曜レディースデーは、中村勘太郎君主演、日本曹洞宗の開祖となった道元禅師の生涯と教えについて描かれた映画「禅」を観てきました。

この映画は大分前から注目していて、というのも私自身が以前福井県に住んでいて、永平寺には何度も訪れているということ、また通った大学が曹洞宗系の大学であったことが理由です。

今はある程度宗教に関して関心もあり、理解したいという思いがありますが、以前の私は宗教のことなんて頭の片隅にもなかったものですから、道元禅師のことは全く知ろうともしませんでした。

そんな時に大好きな歌舞伎役者の勘太郎君が道元を演じてくれたことで、今更ですが道元の教えや人柄などを知ることが出来、とても良かったと思います。

750年前の乱世の鎌倉時代、困窮する人々やいくさで滅ぼされた怨霊におびえる時の権力者の苦悩を、自らもひとつになって受けとめていった孤高の人＝道元禅師を勘太郎君が演じているのですが、彼の持つ温かく落ち着きのある人柄と歌舞伎で鍛え上げた所作などが遺憾なく発揮されており、観終わったあと、じんわりと清々しい気持ちが込み上げてくるいい映画でした。
特に晩年の威厳と風格、声の抑揚など、とても20代の若者とは思えない重厚な演技で素晴らしかったです。

また、道元の言葉「春は花、夏ほととぎす、秋は月、冬雪さえてすずしかりけり」にもある、日本の四季を切り取ったような美しい映像にも改めて日本の良さを感じることができました。

道元の教えは、只管打坐（しかんたざ）というあるがまま、自然の流れに身を任せ、ただ坐るのみ・・・というもの。
そのシンプルな教えは、悩み傷つく人々の魂の安心をもたらし、今もなお多くの人の心を魅了しているのです。

今座禅ブームと言われているそうで、体験ツアーなどが多く組まれているんだとか。
確かに今の時代は不況だ、なんだと不安定で殺伐とした状況が続いています。
そんな時こそ、心を落ち着けて座禅を組んでみるのもいいのかもな、と思いました。

ただ、教えによると「心の平安を得るには何かを捨てなければならない」らしいです。
今の私に何が捨てられるか・・・ちょっと考えちゃいます。(-_-;)


映画「禅」

監督 高橋伴明
製作総指揮 大谷哲夫
原作 大谷哲夫
音楽 宇崎竜童 、中西長谷雄
脚本 高橋伴明

中村勘太郎[2代目]（道元）
内田有紀（おりん）
藤原竜也（北条時頼）
テイ龍進（寂円・源公暁）
高良健吾（俊了）
安居剣一郎（義介）
村上淳（懐奘）
勝村政信（波多野義重）
鄭天庸（如浄）
西村雅彦（浙翁）
菅田俊（公仁）
哀川翔（松蔵）
笹野高史（老僧）
高橋惠子（伊子）