遅ればせながら夜の部の感想。観に行ったのは11日。
昼の部とはうって変わってお正月らしい華やかな演目が揃ったのと、演目も3つだったので終演時間も早く休憩時間に余裕もあり、のんびりと楽しむことが出来ました。
やっぱり歌舞伎は長時間だと疲れてしまい、最後の方は集中が途切れてしまうことがあるので、これくらいスッキリしていてもいいかもな~って思いました。
歌舞伎座歌舞伎座さよなら公演
壽初春大歌舞伎
平成21年1月3日(土)~27日(火)
夜の部
一、壽曽我対面(ことぶきそがのたいめん)
曽我五郎 吉右衛門
曽我十郎 菊五郎
小林妹舞鶴 魁 春
近江小藤太 染五郎
八幡三郎 松 緑
化粧坂少将 菊之助
梶原景時 錦 吾
梶原景高 亀 蔵
大磯の虎 芝 雀
鬼王新左衛門 梅 玉
工藤祐経 幸四郎
二、新歌舞伎十八番の内 春興鏡獅子(しゅんきょうかがみじし)
小姓弥生後に獅子の精 勘三郎
胡蝶の精 千之助
胡蝶の精 玉太郎
局吉野 歌 江
老女飛鳥井 吉之丞
用人関口十太夫 高麗蔵
家老渋井五左衛門 友右衛門
三、鰯賣戀曳網(いわしうりこいのひきあみ)
猿源氏 勘三郎
海老名なあみだぶつ 彌十郎
博労六郎左衛門 染五郎
庭男実は藪熊次郎太 亀 蔵
亭主 東 蔵
傾城蛍火実は丹鶴城の姫 玉三郎
●壽曽我対面
曽我物はお正月などおめでたい時によく上演される演目です。
幕が上がるとお姫様に遊女にお侍に、とずらーっと豪華な役者さん達が並んでるのが壮観で、錦絵を見ているようです。
確か去年は橋之助の十郎、三津五郎の五郎で観ました。
橋之助も三津五郎もとても良かったけど、今回の菊五郎の十郎、吉右衛門の五郎も2人とも60歳を超えているとは思えない位若々しく、それでいて演技も安定していてすごく見応えがありました。
特に吉右衛門の五郎の豪快な立ち居振る舞いとカン高い声がかっこよくてシビれちゃいました。
幸四郎の工藤は若干迫力に欠けていた気がするけど、兄弟競演が観れて満足、満足。
菊之助の少将と芝雀の大磯の虎、どちらもすっごく綺麗な衣装と髪型でいい目の保養になりました。
工藤のお付きに松緑と染五郎だし、好きな役者さんばかりで新年早々いいもの観れた~っていう充実感でいっぱいな演目でした。
●新歌舞伎十八番の内 春興鏡獅子
定評のある勘三郎の鏡獅子、やっと観ることができました。
前シテは小姓弥生の気品ある踊り、後シテでは荒々しい獅子の精を1人の役者が演じるというのが見どころたっぷりの華やかで楽しい舞踊です。
勘三郎の弥生がすごく初々しくて、踊るのが恥ずかしくてひっこんでしまうところとか、一つ一つの動きが可愛くて、とても50すぎのおじさまには見えませんでした(笑)
役者なんだから当たり前なのかもしれませんが、重い衣装を着て、顔色一つ変えず30分以上舞台で踊り続けるのはほんとにすごいな、と感心してしまいます。
私は踊りの上手い下手はほとんどわかりませんが、繊細な手の動きや身のこなしの軽さなんかはとっても良かったと思いました。
弥生が獅子頭に引っ張られて引っ込むと、可愛い2人の胡蝶の精の登場です。
演じるのは中村松江の長男玉太郎くんと、片岡孝太郎の長男千之助君。
2人とも8歳なのかな?ちっちゃくってすっごい可愛いーーー!
玉太郎くんのほうがおっとりした顔立ちで、振りがちょっと遅れちゃうのだけどそれがまた可愛い。
千之助くんはキリッとしていてどことなく孝太郎に似ています。
とにかく2人とも一生懸命、良く頑張りました。
将来この2人がどんな素敵な役者さんになるのか想像するだけで楽しみ。
後シテは勘三郎お得意の毛振りなのですが、ここでも胡蝶の精が蝶の衣装を着て登場し、獅子の周りを舞い、一緒に遊ぶところがほのぼのしちゃいます。
勘三郎も良かったけど、なんだか胡蝶の精にすっかり心を奪われてしまった今回の鏡獅子でした。
●鰯賣戀曳網
作家の三島由紀夫が先代の勘三郎のために書いた作品とのこと。
勘三郎らしい、コミカルでいたずらっぽい演技が存分に堪能できる面白いお芝居でした。
あらすじは舞台は京都五條大橋のたもと。
鰯売りの猿源氏がふと見ることになった輿に乗った女の美しさに一目ぼれして以来、その女のことが忘れられなくなっています。偶然会った父の海老名なあみだぶつに相談し、女を探すと高名な遊君(傾城)・蛍火であることがわかりますが、身分違いの鰯売りでは会うこともままなりません。
父親が一計を講じて、猿源氏を東国の大名に仕立て、京の廓に乗り出すことにしました。蛍火に歓迎され念願が叶ったのですが、蛍火の膝枕で寝入ってしまい、うっかり寝言で、鰯売りの声「いわしこーい」を発してしまい、鰯売りである事がばれてしまいます。
しかし、紀州丹鶴城の姫君だった蛍火は十年前に、天主閣から聞いた鰯売りの声の美しさに城を抜け出したのですが、日が暮れて、人買にさらわれ廓に売られてしまった事が分かります。その鰯売りの声こそが、猿源氏の声だったのです。
この話しを聞いて、店の庭師として忍び込んでいた紀州の家臣次郎太は蛍火を身請けし、お城に帰ろうとしますが姫は言うことを聞かず、猿源氏の女房になる事を宣言し、鰯売りとなってハッピーエンドとなる、現実ではちょっとありえない、面白おかしいお話です。
この役は勘三郎以外考えられないっていうほどの見事なハマリ役。
「いわしこえー」という勘三郎の声もすごく心地よいです。
綺麗で、それでいておちゃめな玉三郎演じる蛍火との相性もバツグンで、お似合いのカップルでした。
脇を固める彌十郎、染五郎、亀蔵、東蔵、皆いい味出してて良かったです。
こんなハッピーな歌舞伎を三島由紀夫が書いたというのが驚き。
まさにお正月らしい、おめでたい幕引きに大満足でした。
↓歌舞伎座のロビーに飾られた凧と羽子板。めでたい!
明日のテレビ、録画予約しなくっちゃ~!!!
1/23 19:57~21:49 フジ
金曜プレステージ
「これが日本の大家族!勘三郎感動密着413日涙と笑いの親子愛スペシャル」
稀代の歌舞伎俳優・十八代目中村勘三郎のこの1年間に密着し、数々の闘いと感動的な人間ドラマを描いていくドキュメンタリー。勘三郎を中心に、長男・勘太郎、次男・七之助の活躍や、奥様、門弟たちの奮闘ぶりなどを通して、中村屋という「大きな家族」の絆のすばらしさを伝える。
昨年5月に行われた平成中村座「夏祭浪花鑑」のドイツ、ルーマニア公演の裏側を密着取材。海外公演の苦労、感動を追う。
7月、長野県松本市中が沸きに沸いた 信州まつもと大歌舞伎。松本市の通信制高校の生徒が市民キャストとして参加した。
8月、歌舞伎座の「納涼大歌舞伎」では、一般の家庭から、子役オーディションを経て中村屋の部屋子となった13歳中学1年生の歌舞伎俳優・中村鶴松が大役に挑戦する。歌舞伎座で発売されているブロマイドも完売になったほど人気がある"小さなお弟子さん"の奮闘ぶりを追う。
10月、浅草寺に平成中村座テントを建てての公演演目は、260年の伝統を持ち、歌舞伎作品の名作中の名作ともいえる「仮名手本忠臣蔵」。勘三郎は戸無瀬という初役に、勘太郎は8役、七之助は5役に挑戦するとあって、その舞台裏は壮絶。
そして年明け元旦の中村家の様子、歌舞伎俳優170名が参加した「古式顔寄せ手打式」の壮大な様子、勘太郎の熱愛報道とその裏側、恋人の前田愛との2ショットなど番組独自の秘蔵映像も盛り込んで送る。
昼の部とはうって変わってお正月らしい華やかな演目が揃ったのと、演目も3つだったので終演時間も早く休憩時間に余裕もあり、のんびりと楽しむことが出来ました。
やっぱり歌舞伎は長時間だと疲れてしまい、最後の方は集中が途切れてしまうことがあるので、これくらいスッキリしていてもいいかもな~って思いました。
歌舞伎座歌舞伎座さよなら公演
壽初春大歌舞伎
平成21年1月3日(土)~27日(火)
夜の部
一、壽曽我対面(ことぶきそがのたいめん)
曽我五郎 吉右衛門
曽我十郎 菊五郎
小林妹舞鶴 魁 春
近江小藤太 染五郎
八幡三郎 松 緑
化粧坂少将 菊之助
梶原景時 錦 吾
梶原景高 亀 蔵
大磯の虎 芝 雀
鬼王新左衛門 梅 玉
工藤祐経 幸四郎
二、新歌舞伎十八番の内 春興鏡獅子(しゅんきょうかがみじし)
小姓弥生後に獅子の精 勘三郎
胡蝶の精 千之助
胡蝶の精 玉太郎
局吉野 歌 江
老女飛鳥井 吉之丞
用人関口十太夫 高麗蔵
家老渋井五左衛門 友右衛門
三、鰯賣戀曳網(いわしうりこいのひきあみ)
猿源氏 勘三郎
海老名なあみだぶつ 彌十郎
博労六郎左衛門 染五郎
庭男実は藪熊次郎太 亀 蔵
亭主 東 蔵
傾城蛍火実は丹鶴城の姫 玉三郎
●壽曽我対面
曽我物はお正月などおめでたい時によく上演される演目です。
幕が上がるとお姫様に遊女にお侍に、とずらーっと豪華な役者さん達が並んでるのが壮観で、錦絵を見ているようです。
確か去年は橋之助の十郎、三津五郎の五郎で観ました。
橋之助も三津五郎もとても良かったけど、今回の菊五郎の十郎、吉右衛門の五郎も2人とも60歳を超えているとは思えない位若々しく、それでいて演技も安定していてすごく見応えがありました。
特に吉右衛門の五郎の豪快な立ち居振る舞いとカン高い声がかっこよくてシビれちゃいました。
幸四郎の工藤は若干迫力に欠けていた気がするけど、兄弟競演が観れて満足、満足。
菊之助の少将と芝雀の大磯の虎、どちらもすっごく綺麗な衣装と髪型でいい目の保養になりました。
工藤のお付きに松緑と染五郎だし、好きな役者さんばかりで新年早々いいもの観れた~っていう充実感でいっぱいな演目でした。
●新歌舞伎十八番の内 春興鏡獅子
定評のある勘三郎の鏡獅子、やっと観ることができました。
前シテは小姓弥生の気品ある踊り、後シテでは荒々しい獅子の精を1人の役者が演じるというのが見どころたっぷりの華やかで楽しい舞踊です。
勘三郎の弥生がすごく初々しくて、踊るのが恥ずかしくてひっこんでしまうところとか、一つ一つの動きが可愛くて、とても50すぎのおじさまには見えませんでした(笑)
役者なんだから当たり前なのかもしれませんが、重い衣装を着て、顔色一つ変えず30分以上舞台で踊り続けるのはほんとにすごいな、と感心してしまいます。
私は踊りの上手い下手はほとんどわかりませんが、繊細な手の動きや身のこなしの軽さなんかはとっても良かったと思いました。
弥生が獅子頭に引っ張られて引っ込むと、可愛い2人の胡蝶の精の登場です。
演じるのは中村松江の長男玉太郎くんと、片岡孝太郎の長男千之助君。
2人とも8歳なのかな?ちっちゃくってすっごい可愛いーーー!
玉太郎くんのほうがおっとりした顔立ちで、振りがちょっと遅れちゃうのだけどそれがまた可愛い。
千之助くんはキリッとしていてどことなく孝太郎に似ています。
とにかく2人とも一生懸命、良く頑張りました。
将来この2人がどんな素敵な役者さんになるのか想像するだけで楽しみ。
後シテは勘三郎お得意の毛振りなのですが、ここでも胡蝶の精が蝶の衣装を着て登場し、獅子の周りを舞い、一緒に遊ぶところがほのぼのしちゃいます。
勘三郎も良かったけど、なんだか胡蝶の精にすっかり心を奪われてしまった今回の鏡獅子でした。
●鰯賣戀曳網
作家の三島由紀夫が先代の勘三郎のために書いた作品とのこと。
勘三郎らしい、コミカルでいたずらっぽい演技が存分に堪能できる面白いお芝居でした。
あらすじは舞台は京都五條大橋のたもと。
鰯売りの猿源氏がふと見ることになった輿に乗った女の美しさに一目ぼれして以来、その女のことが忘れられなくなっています。偶然会った父の海老名なあみだぶつに相談し、女を探すと高名な遊君(傾城)・蛍火であることがわかりますが、身分違いの鰯売りでは会うこともままなりません。
父親が一計を講じて、猿源氏を東国の大名に仕立て、京の廓に乗り出すことにしました。蛍火に歓迎され念願が叶ったのですが、蛍火の膝枕で寝入ってしまい、うっかり寝言で、鰯売りの声「いわしこーい」を発してしまい、鰯売りである事がばれてしまいます。
しかし、紀州丹鶴城の姫君だった蛍火は十年前に、天主閣から聞いた鰯売りの声の美しさに城を抜け出したのですが、日が暮れて、人買にさらわれ廓に売られてしまった事が分かります。その鰯売りの声こそが、猿源氏の声だったのです。
この話しを聞いて、店の庭師として忍び込んでいた紀州の家臣次郎太は蛍火を身請けし、お城に帰ろうとしますが姫は言うことを聞かず、猿源氏の女房になる事を宣言し、鰯売りとなってハッピーエンドとなる、現実ではちょっとありえない、面白おかしいお話です。
この役は勘三郎以外考えられないっていうほどの見事なハマリ役。
「いわしこえー」という勘三郎の声もすごく心地よいです。
綺麗で、それでいておちゃめな玉三郎演じる蛍火との相性もバツグンで、お似合いのカップルでした。
脇を固める彌十郎、染五郎、亀蔵、東蔵、皆いい味出してて良かったです。
こんなハッピーな歌舞伎を三島由紀夫が書いたというのが驚き。
まさにお正月らしい、おめでたい幕引きに大満足でした。
↓歌舞伎座のロビーに飾られた凧と羽子板。めでたい!
明日のテレビ、録画予約しなくっちゃ~!!!
1/23 19:57~21:49 フジ
金曜プレステージ
「これが日本の大家族!勘三郎感動密着413日涙と笑いの親子愛スペシャル」
稀代の歌舞伎俳優・十八代目中村勘三郎のこの1年間に密着し、数々の闘いと感動的な人間ドラマを描いていくドキュメンタリー。勘三郎を中心に、長男・勘太郎、次男・七之助の活躍や、奥様、門弟たちの奮闘ぶりなどを通して、中村屋という「大きな家族」の絆のすばらしさを伝える。
昨年5月に行われた平成中村座「夏祭浪花鑑」のドイツ、ルーマニア公演の裏側を密着取材。海外公演の苦労、感動を追う。
7月、長野県松本市中が沸きに沸いた 信州まつもと大歌舞伎。松本市の通信制高校の生徒が市民キャストとして参加した。
8月、歌舞伎座の「納涼大歌舞伎」では、一般の家庭から、子役オーディションを経て中村屋の部屋子となった13歳中学1年生の歌舞伎俳優・中村鶴松が大役に挑戦する。歌舞伎座で発売されているブロマイドも完売になったほど人気がある"小さなお弟子さん"の奮闘ぶりを追う。
10月、浅草寺に平成中村座テントを建てての公演演目は、260年の伝統を持ち、歌舞伎作品の名作中の名作ともいえる「仮名手本忠臣蔵」。勘三郎は戸無瀬という初役に、勘太郎は8役、七之助は5役に挑戦するとあって、その舞台裏は壮絶。
そして年明け元旦の中村家の様子、歌舞伎俳優170名が参加した「古式顔寄せ手打式」の壮大な様子、勘太郎の熱愛報道とその裏側、恋人の前田愛との2ショットなど番組独自の秘蔵映像も盛り込んで送る。