8月29日(月)有明月の夜 アルゼンチン
ルーモと風さんの旅はあと2日となりました。
最後から二番目の国はアルゼンチンです。
アルゼンチンは南アメリカの下の方にあって、雄大な自然はたくさんの世界遺産になっています。
例えばケブラーダ・デ・ウマワーカという山。
ロス・グラレシアスという大きな氷河。
高さが何十メートルもあります。
南極大陸やグリーンランドに次ぐ氷河地帯です。
イスチグアラスト/タランパジャ自然公園の山も世界遺産です。
そして、あの愛らしいペンギンも世界遺産の一つです。
アルゼンチンの一番南端にあるウシュアイアという島はペンギンだらけの島です。そこにルーモと風さんはやってきました。
島は本当にペンギンだらけ。
大人のペンギン、子供のペンギン。
どれもよちよち歩きでゆっくり、のんびりとそこらじゅうを散歩していたり、遊んだり、眠ったり。見ているだけでこちらの気持ちものんびりしてきます。
そんなペンギンたちを見ながらルーモは、この旅のことを思い返して風さんに言いました。
「世界中のいろんなお話を聞いてとても楽しかった。私は何かが変わったみたい。」
「何が変わったの?」
「これまでは考えなかったことを考えるようになった」
「どんな?」
「こうなりたい、という気持ちかな?」
「そう。どうなりたいと思ったの?」
「私……、人間になりたい…かも」
人間になりたいと思う妖精なんていません。
だって、人間は妖精とは全く別の世界のものです。
それに人間はとても大変なのです。魔法も使えないし、食べなければ生きていけないし、いろんな思考や感情を持て余し、それに振り回されるとても厄介な生き物です。
でも、風さんはルーモの答えに驚いたりはしませんでした。
「どうして、そう思った?」
「私も直接お話を聞いてみたくなったの。それに私も大好きな誰かに優しくお話を語ってみたい。そのときの気持ちを味わってみたい。その人の目をしっかりと見つめてね。この気持ちが何なのかはわからないわ」
言わなかったけれど、風さんにはそれが何かわかっていました。
ルーモはおはなしの旅に出発した8月1日の夜よりも大きくなって、もう18歳くらいのお嬢さんになっています。心が芽生えた妖精ルーモは小さな女の子から少女へと成長したのです。様々な思いがルーモを大人にしました。
「君気づいているかい?君はもう子供の妖精ではないよ。素敵で美しいレディ妖精さ。別にこのままでもいいんだよ。永遠に誰かが話すお話をそばで楽しめばいいじゃないか。僕のお嫁さんになってさ、イングランドのネス湖の女王にもなれる。それなのに、人間になるなんて。人間になったら生まれたら必ず死ぬし、もう妖精には二度と戻れない。僕のことも忘れるよ」
風さんは真剣でした。
風さんのルーモを好きだという気持ちが伝わって、ルーモの瞳がうるみ、水の玉がほとばしりました。
それでも、ルーモはきっぱりと言いました。
「わたし、やっぱり人から直にお話がききたい。ちゃんと目をみて、微笑まれたいの」
風さんも目を潤ませながら、こうなることはわかっていたというように、うっすらと笑いながら
「そうだね。ちゃんと目を見て微笑まれたいよね」
とうなづきました。
ルーモと風さんの旅はあと2日となりました。
最後から二番目の国はアルゼンチンです。
アルゼンチンは南アメリカの下の方にあって、雄大な自然はたくさんの世界遺産になっています。
例えばケブラーダ・デ・ウマワーカという山。
ロス・グラレシアスという大きな氷河。
高さが何十メートルもあります。
南極大陸やグリーンランドに次ぐ氷河地帯です。
イスチグアラスト/タランパジャ自然公園の山も世界遺産です。
そして、あの愛らしいペンギンも世界遺産の一つです。
アルゼンチンの一番南端にあるウシュアイアという島はペンギンだらけの島です。そこにルーモと風さんはやってきました。
島は本当にペンギンだらけ。
大人のペンギン、子供のペンギン。
どれもよちよち歩きでゆっくり、のんびりとそこらじゅうを散歩していたり、遊んだり、眠ったり。見ているだけでこちらの気持ちものんびりしてきます。
そんなペンギンたちを見ながらルーモは、この旅のことを思い返して風さんに言いました。
「世界中のいろんなお話を聞いてとても楽しかった。私は何かが変わったみたい。」
「何が変わったの?」
「これまでは考えなかったことを考えるようになった」
「どんな?」
「こうなりたい、という気持ちかな?」
「そう。どうなりたいと思ったの?」
「私……、人間になりたい…かも」
人間になりたいと思う妖精なんていません。
だって、人間は妖精とは全く別の世界のものです。
それに人間はとても大変なのです。魔法も使えないし、食べなければ生きていけないし、いろんな思考や感情を持て余し、それに振り回されるとても厄介な生き物です。
でも、風さんはルーモの答えに驚いたりはしませんでした。
「どうして、そう思った?」
「私も直接お話を聞いてみたくなったの。それに私も大好きな誰かに優しくお話を語ってみたい。そのときの気持ちを味わってみたい。その人の目をしっかりと見つめてね。この気持ちが何なのかはわからないわ」
言わなかったけれど、風さんにはそれが何かわかっていました。
ルーモはおはなしの旅に出発した8月1日の夜よりも大きくなって、もう18歳くらいのお嬢さんになっています。心が芽生えた妖精ルーモは小さな女の子から少女へと成長したのです。様々な思いがルーモを大人にしました。
「君気づいているかい?君はもう子供の妖精ではないよ。素敵で美しいレディ妖精さ。別にこのままでもいいんだよ。永遠に誰かが話すお話をそばで楽しめばいいじゃないか。僕のお嫁さんになってさ、イングランドのネス湖の女王にもなれる。それなのに、人間になるなんて。人間になったら生まれたら必ず死ぬし、もう妖精には二度と戻れない。僕のことも忘れるよ」
風さんは真剣でした。
風さんのルーモを好きだという気持ちが伝わって、ルーモの瞳がうるみ、水の玉がほとばしりました。
それでも、ルーモはきっぱりと言いました。
「わたし、やっぱり人から直にお話がききたい。ちゃんと目をみて、微笑まれたいの」
風さんも目を潤ませながら、こうなることはわかっていたというように、うっすらと笑いながら
「そうだね。ちゃんと目を見て微笑まれたいよね」
とうなづきました。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます