風のたより #15 千葉甫 2019-04-29 14:32:32 | 短歌 過ぎるのを待った車の停車する信号の無い横断歩道 指先のタッチが少しはみ出して望まぬページの出るタブレット 伐採をした後知った雑木の名 折に触れては意識に還る
風のたより #14 千葉甫 2019-04-27 14:30:33 | 短歌 テレビから出てきた笑いに誘われた独りの笑いの浮く夜の部屋 浴槽へ身を沈めつつ聞きとめる降り出してきた雨の気配を 声太い一羽のあって鴉らの声を交している風の中
風のたより #13 千葉甫 2019-04-25 14:32:33 | 短歌 粛々と平成は行くこの次に君と会うのは令和元年 解体の家の跡地のいっぱいの陽ざしの中の風の勢い その後の眠りのなかなか来なかった記憶残って夢より覚める
風のたより #12 千葉甫 2019-04-23 14:32:46 | 短歌 眼が覚めて見上げる窓の空高く月輝いてまだ遠い朝 よぎり行く花びらあってここからは百メートルほど遠くの桜 焦点の合うまで見つめている花と私の間を横切った影
風のたより #11 千葉甫 2019-04-21 14:28:40 | 短歌 容赦なく今日は明日へ移りつつ風の行く音 猫の呼ぶ声 眼が合って笑みを残して去った人 何時か何処かで見た顔の人 わが裡に錘となって垂れているまだ片づかぬ思いが一つ