風のたより #166 千葉甫 2020-02-29 13:55:58 | 短歌 足音を立てずに上る階段の軋んで音の響く真夜中 眼を上げた屋根に鴉の立っていて音もたてずに去る風の中 窓越しに薄紅の雲を見る顔ひりひりと冷えるこの朝
風のたより #165 千葉甫 2020-02-27 14:54:17 | 短歌 窓開けて覗く通りはがらんどうパトカーの声切れたあたりも この人はまだ健在にしているかインターネットで調べずにおく 曇りがちだったかそれとも晴れがちか惑う日記に綴ろうとして
風のたより #164 千葉甫 2020-02-25 14:03:33 | 短歌 対向車へ左に寄れと叫びつつサイレン抜けた後の静寂 起き出して素足のままで下りて行く真夜中過ぎの冷えた階段 苛立ちへ誘い込みつつ長々と鳴らし続けているクラクション
風のたより #163 千葉甫 2020-02-23 15:25:23 | 短歌 起床にはやや早すぎて眼を閉じてあたふた起きだすやや寝過ごして ドアの鍵かけ忘れたかも知れないの思い兆してマウスを止める 饒舌の夢の中からぽっかりと目覚めて夜明け前の静寂
風のたより #162 千葉甫 2020-02-21 14:01:18 | 短歌 聴いていた曲の終ってイヤホンを外す夜更けの梟の声 この夜も聞こえてくる声 梟は昨日の夜と同じ一羽か 風の無い今日の通りに立つ幟のお好み焼きの裏返しの文字