風のたより #46 千葉甫 2019-06-30 14:28:53 | 短歌 なまぬるい風を送ってくるだけとなって今年の初扇風機 眼で追った紋白蝶の四階のベランダに咲く花に紛れる 角曲がる私の前を飛び立った鴉の低く去る音も無く
風のたより #45 千葉甫 2019-06-28 15:00:12 | 短歌 ゆっくりと意識に沁みてくる雨の音に目覚めて午前四時過ぎ 朝食後服まねばならぬ一錠を忘れ始める五週目頃から コンピューター相手に低く声上げて答え唱えるクリック前に
風のたより #44 千葉甫 2019-06-26 14:24:27 | 短歌 宙返りする飛行機を仰ぎ見た遠いあの日に似る青い空 一片の雲も見えないこの空の下を気ままに歩いていたい 似たように時間の過ぎているけれど私は昨日の私ではない
風のたより #43 千葉甫 2019-06-24 14:25:35 | 短歌 シャッターのまだ下りている店先の鉢の木に来て雀の弾む 空港へ下るコースがわが家の真上に今日はあって轟く 真昼間の路上に落ちる電線の影から一つ影の飛び去る
風のたより #42 千葉甫 2019-06-22 11:47:14 | 短歌 三ヶ所で親機と子機の鳴る電話 誰か取るかと待つ間に切れる 階段の下の暗闇あとにして上るぽつりと灯点る部屋へ 垂れているコードを引いて灯を消して息深く吸う寝に就く前を