歌う風・・・568 千葉甫

照り返すフロントガラスへ会釈して信号の無い歩道を渡る

照り返す
フロントガラスへ
会釈して
信号の無い
歩道を渡る

歌う風・・・567 千葉甫

半袖となって今年は去年より張り失っている腕の肌

半袖となって
今年は去年より
張り失っている
腕の肌

歌う風・・・566 千葉甫

草に寝て仰いだあの日の空の色青さを増してくる年毎に

草に寝て
仰いだあの日の
空の色
青さを増してくる
年毎に

歌う風・・・565 千葉甫

そのうちに読もうと思っている本を手にして書架へ今夜も戻す

そのうちに
読もうと思っている本を
手にして
書架へ今夜も戻す

歌う風・・・564 千葉甫

降る雨に色鮮やかな紫陽花の花の匂いを未だに知らず

降る雨に
色鮮やかな
紫陽花の
花の匂いを
未だに知らず