『真空管馬鹿もいよいよここまで来たか...』
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ebayで”M-R”と大きく印字された真空管の写真をときどき目にし、出品タイトルにも”M-R”と、わざわざ表記されるくらいだから、気になってはいたのです。
”M"ilitary用の特別なスペックかいな?
とググってみたところ、たしかに一部、軍は関与しやすが、
"Maintenance / Repair"
の略であることが分かりやした。
※”メンテ、リペアした”ではなく、”メンテ、リペアが必要かもしれまへんでぇ”のほう。
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こげなコトに関心を寄せる輩は、彼の地でも相当コアらしく、見つかったテキストはごく僅か。
しかも、本人、身内、知人の経験談がソースなので、信憑性にやや問題がありますが、(阿呆烏的にはとても)興味深い内容なので、纏めてみやした。
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【時代背景】
1942年、アメリカ政府が軍用を除く、すべてのラジオ製造を禁じたため、軍、産業界それぞれの専門家により、真空管製品の新たな基準が設けられた。
一 軍は、軍のテストに合格したすべての真空管を”JAN(Joint Army Navy)として採用する。
※そのため、JAN管球は堅固な耐性を保証することになります。
二 軍用の規格を満たさなかった真空管のなかには、わずかにサイズが違うとか、ガラスやベースに気泡があるとかの、民需には十分足り得る管球が多くあり、それらには、”M-R”と印字し、民間で販売する。
1942-1945年の間では、これらのM-R管球が民間で利用できる唯一の新製品であった。
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1943年、RCAは、テストの結果、ユーザーの要求を満たすと判断した真空管をsubstandardと表記し、第二次世界大戦の終了まで15%安く販売することを認められた。
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いっぽう、よろしくないほうの話としては、
Long IslandのWestinghouseでは、substandardのような印を付けられることなく、高温テストをパスしなかったような、仕様を満たさない真空管がブローカーに売られていた。 それらの多くが、Radio Shack(家電販売チェーン店)、PolyPackや、香港(←これ重要!)に送られていった。 ジャンク品をフルスペックとして売ろうとする民間の業者や、商用やJANとして、再印字するようなエージェントも存在した。
※これは、Westinghouseのマーケティングに関わっていた個人の経験談ですが、他のメーカー(品)でも、同じような悪行があったのでしょう。 Ken-Radの'44年製JAN管がやたら出回るのも、コレか? 阿呆烏所有の何割かは、コレだったりするんでしょうなぁ。
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off-specにも関わらず、阿呆烏が欲しがったワケは、出品写真にチラッと見えた
”sub-standard"の文字。
M-Rのみ印字されたRCA管球(他メーカー含め)は、チラホラ目にするのですが、
”sub-standard"の印字があるブツはメチャ・レアらしいんすわ。
こりゃ、逃すワケにはいかんでしょう
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