【ワシントン=有元隆志】米国のオバマ新大統領は20日の就任
演説で、「責任の時代」を呼びかける。政府、国民が結束して
それぞれの責務を果たさなければ、イラク、アフガニスタンでの
2つの戦争に加え、金融危機、景気後退に直面している厳しい状況
を克服できないとの危機感が背景にはある。大統領選を通じて人種、
党派の壁を乗り越えて国民の団結を訴え、熱狂的な支持を集めた
オバマ氏だが、就任直後から試練を迎えることになる。
「責任」に重きをおいたのは、同じ民主党のケネディ元大統領が
1961年の就任演説で、「国があなたのために何をしてくれるかを
尋ねるのではなく、あなたが国のために何ができるかを尋ねてほしい」
と訴えたのを意識したとみられている。
オバマ氏は19日の集会でも「政府としてやるべきことはやるが、
政府がやれることには限りがある」と述べ、改革実行には国民の協力が
不可欠との考えを示している。
【ワシントン20日時事】オバマ米新大統領の就任式を迎えた20日、首都
ワシントンでは早朝から、初の黒人大統領誕生の歴史的瞬間を見ようと
する人波であふれ、「オバマコール」が響き渡った。米メディアによると、
首都警察当局は、人出は100万-200万人になると見込んでいる。
黒いコートに身を包み、赤いネクタイを着けたオバマ氏はこの日朝、
滞在先の迎賓館「ブレアハウス」をミシェル夫人と出発。宣誓式に向かう
前に教会に立ち寄った。
ホワイトハウス周辺では、パレードを見学する場所を確保しようと
早朝から長蛇の列ができた。午前4時から並んだという、先頭グループ
にいた会計士のグロリア・スリッグさん(33)は「きょうは米国を変える
歴史的な日だ。変革を託されたオバマ氏の大統領の姿を一目でも見たい」
と、興奮気味に話した。
朝の気温はセ氏マイナス7度。人々は寒さにかじかむ手をさすりながら
手荷物検査を待った。高揚する気持ちを抑え切れないのか、あちらこち
らで「オバマコール」が沸き起こった。
オバマ氏の宣誓式が行われる連邦議会議事堂前からリンカーン記念堂に
至る「モール」と呼ばれる緑地帯も人波でびっしり埋め尽くされた。
一方、ワシントン・ポスト紙はこの日、就任式特別版を発行。昨年11月
の大統領当選時同様、瞬く間に売り切れた。