黄泉の国へ

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詐欺に出会って、お父さんは天国へ行きました

2024-07-03 15:27:00 | 日記
 兄にも電話で知らせて
実家に入ると
父はダイニングテーブルで
お茶を飲んでいて
妙な笑顔だった

指をテーブルの上で
コチコチ鳴らす動作(ドレミファ、ドレミファみたいな)を
繰り返していて

横に女性が立っていた


どうしたのかと
ワタシが幾ら聞いても
父から返答はなく


ワタシ達が誰なのかも
わからない風だった


女性に
いつからこんな風なのかと
聞くと


よくわからない
今朝かも
昨夜から、かも



あやふやだった


病気ではないみたいだから
様子をみるといいのでは


という



おまけに
出掛ける用があって
夜まで帰れないから

ワタシに見ておくように


と言って


出て行ってしまった





一大事だけど
ワタシは
息子を実家に残して
仕事を午前で切り上げられるように
段取りをしに職場へ行った

結婚式のケーキを作る
パティシエ補佐なので
誰か代わりを職場で見つけられれば
直ぐ実家に戻れる



実家には携帯から電話を再々かけて
息子に様子を尋ねた



会話はないけど

応接間でマッサージチェアに座り
ずっとテレビを見ている父の横で


息子もずっと座っているそうだ




大丈夫なのかな......


一時的な記憶喪失かな.....




午後にやっと段取りだけ済ませて


実家に戻ると



父はワタシと息子に
「何かつくりましょうか?」


丁寧に一言だけ言った


ワタシの問いかけには
やはり応じず


妙な笑顔をしたままの
父が怖くなり


兄に相談の電話を入れると


一日様子を見て
明日も変わらなければ
病院へ直ぐ行くように言われるも


一体どうしたらいいのか


わからなくなった


急に重度の認知症?
精神科?神経科?
どこで診てもらえるんだかすら
わからない



背中をさすったり
手のひらをマッサージしたり
肩を揉んだり


色々やりながら



女性の帰宅を待った


健康保険証が
どこにあるのか
ワタシは知らないからだ


この時ばかりは
女性に早く帰ってきてもらいたくて
たまらなかった


父を置いて行ったことに


もう

腹も立つ余裕もない




つづく






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