竹林亭白房

雲助「もう半分」★落語

□本日落語一席。
◆五街道雲助「もう半分」(TBSチャンネル『落語研究会』)。
東京三宅坂国立劇場小劇場、平成31(2019)年6月25日(第612回「TBS落語研究会」)。
「もう半分」によく似た落語で「正直清兵衛」がある。というのは、この『落語研究会』での解説京須偕充が言っていたことでもあり、川戸貞吉『落語大百科』にも書いてある。そして、今回雲助が演ったのは、「もう半分」に「正直清兵衛」の要素を一部取り入れた型になったものだった。

「正直清兵衛」は自分も聞いたことがない。『増補 落語事典』によると、梗概がおおよそ知れるが、「もう半分」との大きな相違は、金を失ったという男を居酒屋の亭主が出刃包丁で刺し殺してしまうというところだ。「もう半分」では男は川へ身投げする。
それと、居酒屋夫婦にできた子が死んだ男にそっくりだという点は、「もう半分」と同じだが、「正直清兵衛」では、その子が成長したのち、居酒屋夫婦を殺してしまうという展開になるようだ。

今回、雲助は、金を失った男を居酒屋の亭主が出刃包丁で殺してしまうという部分を「もう半分」にとりこんでいた。また、通常、「もう半分」だと、居酒屋の亭主はねこばばするのに消極的で、内儀が強く亭主を唆すという展開だが、やはり亭主が男を殺すという展開であるだけに、雲助の演じた亭主は、悪事に積極的なキャラクターとなっていた。

したがって、ふつうの「もう半分」よりも、内容は凄惨である。とくに、居酒屋の亭主が金を失った男を殺害する場面。雲助は、その凄惨さを緩和しようとしてか、この場面を芝居がかった台詞まわにしていた。「落語研究会」のごくわずかの客に、なぜかこの芝居がかった台詞になったところで笑っている者がいたが、なぜだろう。推察するに、若い客で、こういう展開に不慣れだと滑稽に思えたのだろうか。
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