時代劇専門チャンネルが今年(2024)に入って、新たな『鬼平犯科帳』シリーズの制作発表を開始した。栄えある第一作は「本所桜屋敷」だったが、その第二作が「啞の十蔵」。原作、というか、『オール読物』での連載順はこの逆である。初めて発表したのが「啞の十蔵」で、第二作が「本所桜屋敷」だ。
原作だと、初作「啞の十蔵」の時点で、火付盗賊改方の長官は長谷川平蔵でなく堀帯刀である。そして、そのときからの同心として小野十蔵が物語られる。
しかし、歴代のテレビシリーズ『鬼平犯科帳』で、堀帯刀のところから語り始めたものはない。
また、『啞の十蔵』を第一話としたものもない。初作の1969年八代目松本幸四郎版では、第九話だし、丹波哲郎版と萬屋錦之介版には、そもそも「啞の十蔵」のエピソードを入れていない。もうこのころには「啞」というワードが避けられるようになっていたのだろうか。
それを経て、1989年の中村吉右衛門版では、ひさしぶりに「むっつり十蔵」というタイトル変更によって、「啞の十蔵」がリメイクされた。それにしても第六話である。
今回、第二作で「啞の十蔵」=「でくの十蔵」が発表されたのは、原作発表時の流れにすこし近づいた形かもしれない。それだったら、「本所桜屋敷」の前に「啞の十蔵」=「でくの十蔵」が置かれるとよかったのにと思わなくもない。
また、このエピソードでは小房の粂八が登場するのだが、他のテレビシリーズ(八代目松本版・中村版)では、「啞の十蔵」の前に「血頭の丹兵衛」をもってきているので、原作の内容を変更せざるを得なくなっている。
その意味では、今回2024年の十代目松本幸四郎版で、「啞の十蔵」=「でくの十蔵」のあとに「血頭の丹兵衛」をもってきたのは、原作に近い内容での制作なっている(原作にある平蔵による粂八への拷問シーンも前二作にはなかったのではないか)。
□本日落語二席。
◆春風亭一之輔「あくび指南」(衛星劇場『春風亭一之輔のカブメン。』第五回)。
GINZA SIX内観世能楽堂、令和5(2023)年11月24日収録。
◆『笑点』大喜利:春風亭昇太(司会)/三遊亭小遊三・春風亭一之輔・林家たい平・立川晴の輔・三遊亭好楽・桂宮治(日テレ『笑点』第2918回)。
後楽園ホール、令和6(2024)年7月7日OA。
原作だと、初作「啞の十蔵」の時点で、火付盗賊改方の長官は長谷川平蔵でなく堀帯刀である。そして、そのときからの同心として小野十蔵が物語られる。
しかし、歴代のテレビシリーズ『鬼平犯科帳』で、堀帯刀のところから語り始めたものはない。
また、『啞の十蔵』を第一話としたものもない。初作の1969年八代目松本幸四郎版では、第九話だし、丹波哲郎版と萬屋錦之介版には、そもそも「啞の十蔵」のエピソードを入れていない。もうこのころには「啞」というワードが避けられるようになっていたのだろうか。
それを経て、1989年の中村吉右衛門版では、ひさしぶりに「むっつり十蔵」というタイトル変更によって、「啞の十蔵」がリメイクされた。それにしても第六話である。
今回、第二作で「啞の十蔵」=「でくの十蔵」が発表されたのは、原作発表時の流れにすこし近づいた形かもしれない。それだったら、「本所桜屋敷」の前に「啞の十蔵」=「でくの十蔵」が置かれるとよかったのにと思わなくもない。
また、このエピソードでは小房の粂八が登場するのだが、他のテレビシリーズ(八代目松本版・中村版)では、「啞の十蔵」の前に「血頭の丹兵衛」をもってきているので、原作の内容を変更せざるを得なくなっている。
その意味では、今回2024年の十代目松本幸四郎版で、「啞の十蔵」=「でくの十蔵」のあとに「血頭の丹兵衛」をもってきたのは、原作に近い内容での制作なっている(原作にある平蔵による粂八への拷問シーンも前二作にはなかったのではないか)。
□本日落語二席。
◆春風亭一之輔「あくび指南」(衛星劇場『春風亭一之輔のカブメン。』第五回)。
GINZA SIX内観世能楽堂、令和5(2023)年11月24日収録。
◆『笑点』大喜利:春風亭昇太(司会)/三遊亭小遊三・春風亭一之輔・林家たい平・立川晴の輔・三遊亭好楽・桂宮治(日テレ『笑点』第2918回)。
後楽園ホール、令和6(2024)年7月7日OA。