竹林亭白房

二葉「まめだ」★落語

□本日落語一席。
◆桂二葉「まめだ」※作:三田純市(NHK総合『林家正蔵の演芸図鑑』)。
東京渋谷NHK放送センター、令和7(2025)年2月9日OA。
大阪ミナミの町筋が影像としてうかんでこないと、芝居小屋から右三郎が帰宅するまでの経路がただ言葉を追うだけの噺として聴かれるまでだ。まあ、そこは落語の主題ではないから、それでもよいとは言えるが。

番組は全国放送だから、大阪の人間には伝わっただろうが、スタジオの客席で聴く東京の人たちには、三ツ寺という名もほとんどわからなかったのではないか。東京でもわかるミナミの寺と言えば法善寺くらいだろうけど、それでも大阪以外の人間には法善寺が大阪難波のどのあたりにあるかとまでわかるまい。大阪の人間に東京の寛永寺がどこにあるかわからないのと同じだ。

それと、右三郎が芝居小屋を出て帰る途中で太左衛門橋を渡るあたりで、まめだに悪さをされるのだが、この橋の名が出るところでは、現在だと大阪人にもどれくらいの人がわかるかアンケートを取ってほしい気もする。

道頓堀川で、御堂筋より東がわに架かっている橋が、順に戎橋・太左衛門橋・相合橋である。大阪人なら戎橋はほぼ百パーセントわかると思うが、後二者はどっちがどっち?というクイズを出したときの正答率が知りたい。
または、もっと難易度を挙げて、道頓堀川に架かるすべての橋の図を見せて、どれが太左衛門橋?と問えば、もっと正答率は下がるにちがいない。おもしろそうだ。

また、右三郎が三ツ寺の住職にまめだの供養を頼むところでは、住職に向って「おっすあん、お願いが……」と声をかけるところがある。これも東京の人には「おっさん」と聞えたのではないだろうか。「おっすあん」は、古い大阪言葉で「和尚さん」(「お住持さん」とも)の呼称である。いろいろ古い時代の大阪が偲ばれる落語である。

二葉は、三ツ寺の境内でまめだが死んでいるのを見つけて、右三郎が声をかけてやる件(くだり)で、泣き声で鼻を啜る演技をしてリアリティを出していた。いや、もしかして本当に演じながら泣いていたのか。その真偽は微妙で確かめにくかったが、いずれにしても、その演出で聴いているこちらも不覚にももらい泣きしてしまった。「まめだ」を聴いて泣いたのは初めてである。老化現象で最近はなんでもかんでも泣けてしまうんだが……。

◆三代目橘家文蔵「千早ふる」(NHKラジオ第一『真打ち競演』)。
高知県安芸市安芸市民会館、令和7(2025)年1月31日収録(安芸市制施行70周年を記念)※2月9日OA。

◆『笑点』大喜利:春風亭昇太(司会)/三遊亭小遊三・春風亭一之輔・林家たい平・立川晴の輔・三遊亭好楽・桂宮治(日テレ『笑点』第2947回)。
後楽園ホール、令和7(2025)年2月9日OA。
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