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聴刻堂日乗

「六月のぶりぶりぎっちょう」(万城目学)

万城目学の本を読んだ。
「六月のぶりぶりぎっちょう」。
前作「八月の御所グラウンド」で
直木賞を受賞した、次の作品だ。

2編収録。
1つめは「三月の局騒ぎ」。
北白川の女子学生寮の不思議な話。
小品ながら面白かった。モデルと
なる女子寮があったかは知らない
が、かつて女子大の寮生だった人
から聞いた所によると、雰囲気は
よく似てたらしい。厳しい門限、
先輩と相部屋、共同のピンク電話、
寮監さんのアナウンス・・・。その
描写だけでもタイムスリップ感を
楽しめる。

2つめは表題作「六月のぶりぶり
ぎっちょう」。
信長が殺された本能寺の変の真相
を探ろうとする話だが…こちらは
正直言って期待外れ。
フィクションの屋上屋を重ねた感
じについて行けなかったようでも
あり。あまりに勘の鈍い主人公に
煩わしさを感じてしまったようで
もあり。

歴史上の人物をキャラ変して登場
させる物語は多分難しいのだろう。
読み手がどれほど歴史を知ってる
かにも拠るしね。意欲的に攻めた
姿勢と理解して、次に期待しよ。

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