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聴刻堂日乗

映画「ロスト・ドーター」

映画「ロスト・ドーター」を観た。

2021年の米・英・イスラエル・
ギリシャ合作の映画。
監督・脚本マギー・ギレンホール。
出演オリヴィア・コールマンほか。

静かな海辺のリゾートに来た独り
の中年女性。比較文学の大学教授
が休暇で旅行しに来たのだ。

静かなビーチに大家族が現れる。
その中に若い母親と幼い娘がいる。
その姿を観て、教授は若かりし頃
の自分を思い出す。それは必ずし
も良い思い出ではなかった・・・。

教授の行動はどこか常識とはズレ
ている。他人との軋轢も厭わない
率直さ。不穏な空気が段々満ちて
くる。

彼女の回想から過去の行状が少し
ずつ判ってくる。妻として母とし
て、決して道徳的なものではなか
ったらしい。

彼女はそれを深く悔恨している。
と同時に、それが自分なのだとも
思っている。説明できる理由など
ありはしないということも。

映像を観るだけで彼女の事がこん
なに伝わってくるなんてスゴイ。
愉快な映画ではないけれど。こう
した深い人間像を表現する映画は
批評家の高い評価も頷ける。

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