冲方丁の「もらい泣き」を読んだ。
小説すばるに連載したコラムだ。
前書きに主題について書かれてた。
「怒り」「泣き」どちらにするか。
「怒り」は単純だ。
そして建設的でないこともある。
だから「泣ける話」にしたそうだ。
周りの人に聞かせて貰ったと言う。
実体験した「泣ける話」、33話。
全部が泣けたわけではないけれど。
思わず涙してしまった話も幾つか。
近ごろ涙腺が緩んできたとは言え。
気に入ったベスト3は以下の通り。
「運転免許とTシャツ」
「旅人たちのバス」
「盟友トルコ」
後書きも面白かった。
聞かせてもらったエピソード。
幾つか共通の類型になると言う。
家族、信頼、恋愛、死別など。
それぞれ唯一無二の物語だが。
「…そうした個別の体験が、意図
せず大勢の人生と重なっていく
ところに、普遍とか、共感といった
言葉の、本当の意味がある…」
そして筆者は言う。
「…きっと自分の今後の執筆に
良い影響を及ぼすに違いない…」
向上心の高さに感心してしまう。
振り返って自分と言えば。
「泣きたい話」を無理くり「笑い」
に変えて紛らわせとる毎日やなぁ。