見出し画像

聴刻堂日乗

三十年の時間

長崎の被爆者の話を聴いています。

当時十三歳だった少女は、
被爆した体験を三十年ほどの間、
誰にも語らなかったそうです。

それは何故だったのでしょうか。

多くの人が亡くなった中で、
自分が生き残ったことが
後ろめたかったのでしょうか。

いつ、どんな後遺症が自身に
表れてくるか判らないという
不安が大きかったのでしょうか。

最も大きな被害を受けた人々は
亡くなってしまったけれども、
自分のような被害の軽かった者が
その人々を差し置いて話すことを
躊躇われたのでしょうか。

恐らく様々な想いが綯い交ぜになり、
落ち着くのに三十年の時がかかった
のでしょう。

そして彼女は、無事に娘を出産し、
その娘が当時の自分と同じ十三歳に
なった頃から、自身の被爆体験を
語り始めたのでした。

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

最近の「日記」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事