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聴刻堂日乗

「渦 妹背山婦女庭訓 魂結び」(大島真寿美)

「渦 妹背山婦女庭訓 魂結び」
という本を読んだ。
大島真寿美の小説だ。

操(あやつり)浄瑠璃。
人形浄瑠璃または文楽とも言う。
近松半二という江戸時代の浄瑠璃
作者の生涯を追って、操浄瑠璃と
それに関わる人々の世界を描いた
物語。

人物名や作品名が多く出てくるが、
知らなくてもそれなりに楽しめる。
こそは著者の筆力の賜物だろう。
描写の判り易さと、文体の調子が
ぐいぐいと読ませてくれる。

芝居とそれを作る人々。虚と実。
その混然一体となった"渦"の中で
熱狂しつつも、どこか醒めた所も
ある半二の人物像にも魅かれる。

当初は、歌舞伎と肩を並べていた
操浄瑠璃だが、すっかり人気は差
を開けられてしまう。そこに漂う
無常感も芝居のようですらある。

読後、少し調べてみた。
現在、人形浄瑠璃文楽はユネスコ
無形文化遺産に登録されている。
技芸員は全部で85人。大夫22人、
三味線22人、人形遣い41人なの
だそうだ。

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