わただま 摘んだ?

風になる 花のかおりをまとうこと 遠い訪れを搬ぶこと 水のありかを囁くこと そして こっそり石たちの夢にすべりこむ

古裂幻想

2006-02-28 10:26:58 | ぷち・ぶーけ
ふきのとうの かすかなえぐみ。
さくらのいろの ただ消えるばかりの音色。
古裂にはどこか似たようなものがつきまとう。



むすめの夏休みの工作につきあって
手を出してみた木目込み人形。
セットになっていた生地が気に入らなくて
旧い友人にわけてもらったきれで拵えた。

とりどりの布がひろがり
あれこれ試してみた あの日が懐かしい。 




舅は、着慣れた軍服のかわりなのか、いつも同じ色の背広で通した人だった。
洋服ダンスをあけるまでは、一張羅しかないのかと思っていたほどだ。
遺したネクタイは多くはなく。
厳しかった人に似合わぬ優しい柄だった。



硬い正絹のいいとこどりで、数珠入れにしてみた。
形見の数珠を入れ、夫の胸ポケットにすんなり納まる。
反発しあった親子もそうやって折り合ってゆくのだろう。


友の治療が滞りなくすみますように。


4 Comments

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長い黒髪の乙女ですね・・・ (風待人)
2006-02-28 13:34:53
お人形の柔らかな黒髪が、美しく光っていますね・・・



お義父様の思い出の“古い布”のトンボの柄が

さぞかし、おなつかしく感じられることでしょうね。



我が家も、夫の父の体調のことなど気がかりがあります。



親は、いつまでも元気でいてほしいと願いながらも

時の移ろいに、何ができるかを、ただひたすらに想うばかりです・・・



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そこはかとなく (Suzuka)
2006-02-28 15:39:04
まつわる思い出を綴りながら

いつしか泣いていました。



いまは逢えぬ人のことを

布は伝えてくれているようです。



お義父様、どうぞお大切に。
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しみじみ… (瑞香)
2006-02-28 23:18:32
古布・古裂には、ゆかりのある人の思い出を蘇らせてくれる力がありますね。

一枚の布を身近なものに作り直して慈しむsuzukaさんの温かい心持ちが伝わってくるようです。

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今宵は冷えます (Suzuka)
2006-03-01 00:29:05
雨から雪に変わるとか。



月も弥生にあらたまりました。

いやおい

生え茂る草木の力をかりて、元気になられますよう。



訪れてくださってありがとう。

私も、明りをいただきました。
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