さくらのいろの ただ消えるばかりの音色。
古裂にはどこか似たようなものがつきまとう。
むすめの夏休みの工作につきあって
手を出してみた木目込み人形。
セットになっていた生地が気に入らなくて
旧い友人にわけてもらったきれで拵えた。
とりどりの布がひろがり
あれこれ試してみた あの日が懐かしい。
舅は、着慣れた軍服のかわりなのか、いつも同じ色の背広で通した人だった。
洋服ダンスをあけるまでは、一張羅しかないのかと思っていたほどだ。
遺したネクタイは多くはなく。
厳しかった人に似合わぬ優しい柄だった。
硬い正絹のいいとこどりで、数珠入れにしてみた。
形見の数珠を入れ、夫の胸ポケットにすんなり納まる。
反発しあった親子もそうやって折り合ってゆくのだろう。
友の治療が滞りなくすみますように。
お義父様の思い出の“古い布”のトンボの柄が
さぞかし、おなつかしく感じられることでしょうね。
我が家も、夫の父の体調のことなど気がかりがあります。
親は、いつまでも元気でいてほしいと願いながらも
時の移ろいに、何ができるかを、ただひたすらに想うばかりです・・・
いつしか泣いていました。
いまは逢えぬ人のことを
布は伝えてくれているようです。
お義父様、どうぞお大切に。
一枚の布を身近なものに作り直して慈しむsuzukaさんの温かい心持ちが伝わってくるようです。
月も弥生にあらたまりました。
いやおい
生え茂る草木の力をかりて、元気になられますよう。
訪れてくださってありがとう。
私も、明りをいただきました。